2023年11月17日に、水木しげるさんの生誕100周年を記念して、映画『鬼太郎誕生』が公開されました。
同年4月に公開されたビジュアルでは、鬼太郎の父と『墓場鬼太郎』でも出演していた水木が、血まみれになって墓に佇んでいます。
そして、一人血を被ることなく座り込んでいる鬼太郎がおり、一体何が起きているのかと不安な気持ちにさせられる絵でした。
『ゲゲゲの鬼太郎』を子供の頃から慣れ親しんできた立場としては、これは観るしかないと、公開初日どしゃぶりの雨の中映画館に向かいました。
キャラクターデザインを担当された谷田部透湖さんは、「天気も鬼太郎誕生に合わせてくれたのではないかな」と仰っていました。
実際、雨の中でも観に行ってよかったと思えるほど評価が高い作品で、パンフレットも映画館での在庫がなくなるほど興味を示した観客が多かったそうです。
本記事では、X(旧・Twitter)で話題沸騰中の『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』の見どころや、実際に鑑賞した感想などをまとめていきます。
PG12の作品で、子供には見せられないほどの血液が噴き出る描写がありますが、大人として次世代の子供に何が残せるのか強く問いかける作品でした。
映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』のあらすじ


昭和31年、帝国血液銀行に勤めていた水木は、財政界の影の実力者である龍賀家の当主である龍賀時貞が急死したことを耳にします。
水木は龍賀家が経営している龍賀製薬の担当で、時貞の婿養子であった克典が跡取りになると考え、己の出世のために龍賀一族が住む哭倉村に向かいました。
しかし、遺言には長男の時麿が龍賀家を継ぐことが決まり、一族はどよめき慌てふためきます。
そして龍賀家の後継が決まったその夜に、時麿は惨殺されてしまい、家の周りを徘徊していた一人の男が無実の罪を着せられその場で首を切られそうになりました。
水木は男を救いますが、その代わり座敷牢の隣で男を監視するため寝食をともにするようにと言いつけられました。
水木は男をゲゲ郎と呼び、最初は嫌々彼を監視をしていましたが、やがてゲゲ郎が人間でないことがわかります。
数年にも渡って行方不明になっているゲゲ郎の奥さんを探すため、水木は手を貸しますが、彼女の失踪には龍賀家が深く関わっていたのです。
昭和の男水木が男前すぎる

水木は帝国血液銀行に勤めるサラリーマンで、龍賀家の相続人は懇意にしている克典だと上司に報告し、夜行列車に乗って哭倉村に向かいました。
また、龍賀製薬が独自に開発している血液製剤「M」は、注入されると飲まず食わずで生きることができるという秘薬で、その調剤方法がわかれば膨大なお金を手に入る事は約束されていました。
水木は戦時中は南国に出征しており、理不尽な暴力や、無鉄砲な突撃を命令され、耳がちぎれ顔に傷を負い胸に大怪我をしながらも日本に帰ってきました。
戦後の世の中で、耐え難い辛酸を舐めてきた水木は、ひたすら金のために取引先に媚び同期を出し抜いてでも先に出世しようと必死でした。
しかし、哭倉村に到着した水木は、女性や子供に丁寧に接し、葬式でも礼儀を重んじる筋の通った昭和の男でもあります。
ゲゲ郎のように特殊能力はありませんが、いざとなったら戦時中に扱っていた銃を撃ったり、気合いと根性で苦境を乗り切ります。
水木を演じるのは、『テニスの王子様』の忍足侑士でお馴染みの木内秀信さんで、渋くて力強く芯の通った強さが魅力的です。
しかし、昭和の映画を意識した本作では、水木のセリフ量は従来のアニメのものよりも多く、早口になりながらも感情を込めて演技をするのに苦戦させられたと仰っています。
奥さん思いのゲゲ郎がかわいい!

亡くなった時貞は、遺言状に「龍賀家の後継は長男の時麿」だと残しましたが、その晩時麿は目玉を貫かれ無惨な姿で亡くなっていました。
時麿が亡くなった家屋の周辺を歩いていたゲゲ郎は、捉えられてその場で処刑されそうになりましたが、水木はゲゲ郎に情けをかけてくれるよう頼み込みました。
二人は座敷牢を挟んで語り合いましたが、そこでゲゲ郎が行方不明になった自分の妻を探しに哭倉村を訪れたことがわかりました。
野心を持って狡猾に生きようとする水木に対し、ゲゲ郎は世の中の地位やお金に拘らず、ひたすら妻を愛し大切に思っていました。
大柄な体格に似合わず涙もろく、妻も写真を見て泣いてしまったりするゲゲ郎はとっても癒されました。
しかし、古の幽霊族の名に恥じない力を持っており、持ち前の怪力とリモコン下駄と組紐を使って迫力ある戦闘シーンを見せてくれました。
ゲゲ郎は、『忍たま乱太郎』の土井先生役や『鬼滅の刃』の鬼舞辻無惨役でお馴染みの、関俊彦さんが演じていて優しく温かみのある語り口が素敵でした。
龍賀家が昼ドラ以上に泥沼な関係
水木とゲゲ郎がただ純粋に、今よりもよい生活がしたい、ただ奥さんと一緒にいたいという生き方に対し、龍賀家の一族はひたすら欲にまみれた生き方をしてきました。
龍賀家の家系図をみると、田舎によくありそうな家庭環境ですが、予想以上に外道な生き方をされていて驚きました。
龍賀家の泥沼劇については、作中の大きなネタバレになってしまうのでここでは言えませんが、勇気のある人は是非映画館で確認してみてください。
親たちが犯してきた罪は、子供へ孫へと引き継がれ、純粋に見える孫の小夜や時弥にさえも魔の手が伸びてきます。
個性豊かな妖怪達
ゲゲゲの鬼太郎の魅力は、個性豊かでどこか温かみのある妖怪たちが登場することかと思います。
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』でも、時々妖怪たちが木陰に隠れていたり、闇に紛れていたり、川に潜んでいたりします。
映画館で鑑賞する際は、隠れている妖怪たちを探してみるのも一つの楽しみになるかもしれません。
特に、ゲゲ郎と水木が夜中に酒盛りをした時、鉄瓶火(つるべび)という妖怪がやってきて、二人を明るく照らしたりタバコの火をつけてあげるところなどはほっこりさせられました。
ねずみ男は古川登志夫さん

『鬼太郎誕生ゲゲゲの謎』では、『ゲゲゲの鬼太郎シリーズ』でお馴染みのねずみ男によく似ている少年が登場します。
声は古川登志夫さんが演じており、殺伐とした展開の中で、ほっと息がつける気負いのない立ち位置が魅力的です。
まだ鬼太郎に会う前の彼は狡賢くなく、ただお金をもらえればなんでもやるタイプでしたが、長い年月をかけて悪知恵が働くようになってきたのかもしれないですね。
さいごに
映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』のキャラクターについて概要をまとめてみましたがいかがだったでしょうか。
X(旧・Twitter)では、鬼太郎をよく知らない人でも最後泣いてしまったという声や、公開からまだ1週間も経っていないのに10回以上映画館に足を運んだという人もいました。
ファンアートもポストされている人が多いので、鑑賞後に検索して水木やゲゲ郎の姿を大いに楽しむこともできます。
魅力的な映画なので、お時間があれば是非映画館に足を運んでみてくださいね。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
↓水木しげる先生原作のアニメ『悪魔くん(Netflix版)』についてはこちら
↓水木しげるの妖怪百鬼夜行展にも行ってきました!
↓6期のねこ娘がかわいい理由について
コメント