ハリウッドのホラー映画は、エクソシストや死霊館シリーズをはじめ、さまざまな映画が毎年公開されていますがスペインのホラー映画についてご存知でいらっしゃいますでしょうか。
死霊館シリーズでは、『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』で、スペインと合作でホラー映画を制作していますが、他にも面白い映画はないかとNetflixで探してみました。
本記事では、Netflixでみつけた間違いなく面白いスペインホラー映画【エクリプス】とその前日譚である【ブラックサン】のあらすじやみどころについてまとめてみました。
ハリウッド映画よりも、重苦しく湿り気のある映像や、極力CGを使わず雰囲気や音で表現される悪霊の姿には思わずゾッとさせられます。
そして【エクリプス】も【ブラックサン】も、家族愛や宗教観について深く掘り下げたストーリーになっていますので見応えたっぷりで満足できる仕上がりとなっています。
スペインを震撼させた【エクリプス】のあらすじ
映画【エクリプス】の本題は『Verónica(ヴェロニカ)』といい、1991年にマドリードで実際に起きた怪事件を元に2017年に製作されました。
【エクリプス】とは、日食という意味で、主人公のヴェロニカが日食の日に亡くなった自分の父親と話すためにウィザボード(こっくりさん)をしたことから事件は始まります。
ヴェロニカは友人のロサと、ダイアナと一緒に降霊術を行ったのですが、途中でウィザボードの文字盤は割れ、ヴェロニカの様子が急変しさらに失神してしまいました。
それからヴェロニカの周辺では、おかしな現象が起こるようになり、遂には幼い兄弟達も悪霊の魔の手にさらされるようになりました。
学校の先生である盲目のシスターから忠告を受け、ヴェロニカは降霊術のやり直しを果たそうとしますが…。
溢れる家族愛
父親を亡くしてしまったヴェロニカの母は、夜遅くまでレストランで働かなくてはならなくなり、ヴェロニカは朝早くから夜遅くまで幼い三人の兄弟の世話をしなくてはなりませんでした。
映画冒頭から、子供達が起床し朝ごはんを用意し、学校に通わせるまでヴェロニカが甲斐甲斐しく子供達と過ごしているのが微笑ましいです。
裕福ではないけど、ありきたりな幸せに満ちた、スペインの家族の日常を垣間見ることができます。
特に、妹のイレーネとルシアに「お口にチャック!秘密は守ろう」と歌う場面は兄弟の絆を感じました。
また、末弟であるアントニートが歌っている歌の続きを教えてあげたり、本当にヴェロニカは優しいお姉さんだと感じました。
しかし、15歳の少女が未熟な子供達を日夜問わず面倒をみるのは、多大なストレスになっていたのでしょう。
降霊術をした日から、悪夢や怪現象に悩まされるようになったヴェロニカと家族は、ささやかでおだやかな日常を失っていきます。
ウィザボード(こっくりさん)は危険!生々しい悪霊
日本ではこっくりさんの名称でお馴染みの降霊術は、アメリカやイギリスでもみられ、スペインでも行われていることがわかりました。
文字盤の上にコップを逆さまに起き、コップの底に参加者の指を置くと、質問の答えの通りに動くようです。
映画【エクリプス】では、質問を行っているとコップの底が熱を帯び、ルサとダイアナはコップから手を離してしまいました。
日本のこっくりさんでも、降霊術中に動く十円玉から指を離すと狐に取り憑かれてしまうといいますが、ヴェロニカも悪霊に取り憑かれてしまったようです。
新人女優賞を獲得したサンドラ・エスカセナの演技がいい!
朝ごはんのシーンで、ヴェロニカの体が硬直し痙攣し、食べていたミートボールを吐き出してしまうところは悪霊の存在を匂わす圧巻の演技でした。
悪霊に取り憑かれるシーンだけでなく、彼女の演技は影があり常に惹きつけられました。
ヴェロニカ役を演じたサンドラ・エスカセナは、本作で新人女優賞を獲得しています。
音楽・音の使い方が良い
作中では、子供達が遊んでいたおもちゃが突然電源が入って、音が鳴り出したりテレビが突然ついたりします。
その音の入り方が、思わずドキッとさせられ、ヴェロニカと同じように恐怖を追体験することができます。
また、ヴェロニカが恐怖を紛らわせるためにヘッドホンでロックバンドの曲を聴きながら眠りにつく場面があります。
最初はシンガーの歌声が響き渡りますが「10・9・8・7・6・5・4・3・2・1」と、歌手がカウントダウンを始めると突然曲が止まります。
静寂が訪れた後に、「ヴェロニカ」と自分の名を呼ぶ声が聞こえたら、とてつもなく怖くなりますよね。
CGではなく手作り感あふれる生々しい悪霊
映画【エクリプス】で現れる悪霊は、影になってその恐ろしい姿を写したり、黒く生々しい手で体を掴んできたりします。
悪霊の姿は手作り感が強く、極力CGを抑えているからこそ、ヴェロニカの演技が際立ちより恐ろしくうつりました。
こんな展開は絶対嫌だ!
映画【エクリプス】は、こうなってしまったら最悪だという展開が次々と起こります。
まず、怪現象が起こった時に母親に助けを求めても、愛する母親はヴェロニカをなかなか助けてくれないことです。
ヴェロニカに大人になりなさい、忙しいのと言って全くとりあってくれません。
夜に子供達だけを家において、隣人とのトラブルも長女のヴェロニカに任せきりでは、事件が起こっても不思議ではないですよね。
また、親しかったはずの親友が、ヴェロニカを避けるようになるのも辛かったです。
作中では、盲目のシスターがヴェロニカに何度か忠告をするのですが、目が見えないせいで顔を近づけて離す様子は悪い人ではないにしろ、なんだか恐怖を感じます。
極め付けは、愛しているはずの弟や妹が「ゲームだよ」と言って笑って歌いながらヴェロニカの腕や足に噛み付くシーンは勘弁してくれと思いました。
ヴェロニカは泣き叫びながら母親を呼びますが、やはり母もヴェロニカを助けてくれません。
【エクリプス】のこのヴェロニカがみた悪夢は、昨今みた映画の中でも、特に狂気を感じるシーンでした。
そして、物語のラストについては、あっと驚かされるもので映画の中の違和感とはっきりと合致しました。
気になったら是非Netflixで見てみてくださいね。
【エクリプス】の前日譚【ブラックサン】のあらすじ
映画【ブラックサン】は、英語の題名は『sister death』で、映画【エクリプス】に登場した盲目のシスターの過去について触れた物語になっています。
本作は2023年10月27日よりNetflixで公開され、全世界視聴数ランキングで2位を獲得しています。
舞台は1950年のスペインで、不思議な力を持ち聖少女として崇められたナルシサは、元修道院だった女学校に赴任することになりました。
最終誓願をし、修道女として一生を捧げることに迷いがあったなナルシサですが、寄宿先の部屋でハサミや手紙、葉巻などが入った古い箱を見つけました。
その箱は、シスター・ソコロという修道女が使っていたもので、彼女の写真を手に取った時からナルシサは不可解な怪奇現象に悩まされることになります。
かつて修道院であった悲惨な事件の全貌が明るみになった時、ナルシサは目の光を失い、彼女が果たすべき宿命とは何だったのかがわかります。
陰鬱な映像美
【エクリプス】の舞台はスペインの首都マドリードでしたが、【ブラックサン】の舞台は都会から離れた山の頂に佇む古い修道院が舞台になります。
そのため、建物や調度品がアンティークのような独特な輝きを放ち、電灯が仄暗く部屋を照らし幽霊が登場する下地作りがうまくできていたと思います。
特に、日本などでは滅多にお目にかかれないミサのシーンなども、雰囲気たっぷりで日常とはまた違う世界を楽しむことができます。
本作では、CGを全く使わず、音や雰囲気、場面の急な切り替えなどで幽霊の強さを表現しています。
修道服の白に血の赤さが際立つ
女学校の先生達は、皆修道女で、常に白い修道服を身につけています。
そのため、幽霊の出現の際に少量の血で修道服が汚されるだけで、なにか大事が起きたのではないかと言う錯覚に陥ります。
また、神様に仕えているはずの修道女が、唐突に怒ったり筋の通らない行動をすることで、何かおかしなことが起こっていると観客に危機感を与える演出もうまかったです。
シスター・ソコロのビジュアルが怖い!
【ブラックサン】で登場する、シスター・ソコロのビジュアルについては、【エクリプス】の悪霊の数倍も雰囲気があり美しかったです。
スペインでは、マリア像などを多く飾っている印象がありますが、本作では古いキリスト教の彫像を上手く使うことで幽霊達をより恐ろしく見せていました。
CGを多用しなくても、雰囲気と手作りのお化けでホラー映画として成り立つことがわかり感心しました。
さいごに
スペインホラー映画【エクリプス】と【ブラックサン】のあらすじや感想についてまとめてきましたがいかがだったでしょうか。
スペイン映画は、ハリウッド映画とはまた違った良さがあり、とても楽しく拝見させてもいただきました。
Netflixで配信中なので興味があったら是非みてみてくださいね。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
コメント