2024年7月5日に公開された【温泉シャーク】は、2023年にクラウドファンディングで、約1140万を集め、B級映画マニアの間では密かに話題になりました。
スピルバーグ監督作品の【ジョーズ】などをはじめ、欧米などでは数多くのサメによるパニック映画が製作されてきましたが、実は日本人がサメ映画を製作したことなかったそうです。
今回クラウドファンディングでお金が集まったことと、熱海市からの温かい協力によって、【温泉シャーク】が全国公開にされることになりました。
全国公開と言っても、上映される映画館34館と限られていたので、上映開始日の1週間後にやっと鑑賞することができました。
普段サメ映画はあまりみることはなく、低予算でつくられた映画なので面白いか心配していましたが、実際に鑑賞してみると【温泉シャーク】は十分楽しめる映画でした。
本記事では、【温泉シャーク】のあらすじやみどころ、面白さについてまとめてみました。
【温泉シャーク】のあらすじ
「東洋のモナコ」というキャッチフレーズをモチベーションに、S県暑海市の若き市長万巻寛一は、SNSなどを活用し地域活性化に力を入れていました。
特に、最新式3Dプリンターで作った観光施設はお気に入りで、寛一は誇らしい気持ちでそれを見上げては悦に浸っていました。
一方で警察署長の束伝兵衛は、暑海市の観光客が行方不明になる事件が多発し、頭を抱えていました。
しかし、ある遺体が銭湯施設のロッカーキーを持っていたことから、失踪者達が入浴中に襲われていたことが発覚します。
サメの研究者である巨勢の見解は、古代から独自の進化を遂げたサメが、軟体な体を活かし温泉施設のパイプを行き来することによって、暑海の温泉が沸く場所から人々を襲っていることがわかりました。
束署長は、万巻市長に温泉が沸く場所は危険だと伝えますが、市長はことの重大さを把握しておらず逆に「サメを退治してくれたら商品券30万円プレゼント!」と宣伝を始めます。
万巻市長が動画配信で呼びかけたことで、無料宿泊や賞金、話題性に釣られて沢山のYoutuberが暑海市にやってきますが…。
脚本がしっかりしているので意外と楽しめる
【温泉シャーク】を視聴するために、わざわざ遠方から赴き、面白くなかったらどうしようと心配していましたが話の筋はしっかりしていて楽しめました。
話の起承転結はしっかりとまとまっており、キャラクターの台詞に無理やりさがないにも関わらず、くすっと笑える展開が楽しめました。
最初は、サメがそんな生態を持っている訳ないだろと思いましたが、巨勢研究員の話を聞いていると「そういう進化を遂げたサメもいるかもしれない」と不思議と状況を受け入れることができました。
また、物語の最初で「どうしてこの人はこんなことをしていているのか」「どうしてこれに執着しているのか」と不思議に思う場面がありましたが、その設定がサメを倒すために無駄ではないことだったのが後半でわかります。
78分と短い上映時間でしたが、くだらないながらも話の筋がしっかりとしていて良い脚本だったと感じます。
最後はエンディング曲の情熱的なメロディーに促されて、ほんのり感動させられました。
キャラクターの個性が立っている
【温泉シャーク】は、脚本がよくできている映画であり、かつキャラクターの個性が際立っていたのがよかったです。
特に、物語の前半を引っ張る金子清文さん演じる束署長や、暑海を愛する心が徐々に露わになっていく藤村拓矢さん演じる万巻市長の見せ方がとてもよかったです。
おふざけやバカっぽさが際立ちやすい本作ですが、役者さん達の演技がしっかりしていたので、退屈することなく物語に入りこむことができます。
巨勢研究員を演じる中西裕胡さんも、端正な顔立ちでありながら、マッドサイエンティストを見事に演じていてくれて楽しかったです。
本作で最も重要で謎に満ちた登場人物であるマッチョは、その肉体美を余すことなく見せつけてくれて、存在感たっぷりでとても良かったです。
一瞬しか登場しない、Youtuber達や暑海市民も、なんだかみんなとても楽しそうで良い映画だなと感じました。
手作り感のある模型やサメがかわいい
【温泉シャーク】は、サメだけでなく、暑海市の街並みやパトカー、さらにサメを撃墜するあつみ丸などもミニチュアの模型などを使っていました。
そのため、昔の戦隊ヒーローの戦いのシーンや爆発をみているようで、懐かしい気持ちになりました。
一つ一つ手作りで動かしているからこそ、こだわりがあり、物語が進むほどに愛着が湧いていきました。
特に、サメの顔は近年みるいかにも恐ろしいサメ顔ではなく、どこか愛らしさを感じる顔だったのがよかったなと感じます。
あつみ丸も、海の中をスイスイ泳ぐ光景は何だか可愛く、操縦席も配管の作りや小物がこだわっているなと感じました。
CGがあからさまだけどそこがいい
【温泉シャーク】のCGは、ハリウッドで使われるような本物そっくりの映像ではなく、どうしても作り物感がでてしまう雑さがありました。
しかし、そこがなんだか笑ってしまうポイントにもなって、逆に楽しめるような作りになっていました。
さっきまで自撮り棒片手に笑顔だった配信者が、CGで作られたサメに容赦無くパックっと食べられてしまうシーンは、不謹慎ながらもくすっと笑ってしまいました。
また、CG丸出しの水たまりのような温泉を見て、カップル達が「わ〜こんなところに温泉沸いてるよ!」と話しているのをみると、それだけでギャグになってしまうので、チープさをとりいれた上手い演出だと感心しました。
個人的に〇〇作戦ってちょっと苦手
【温泉シャーク】では、【シン・ゴジラ】へのリスペクトをこめてなのか、サメの殲滅作戦を決行しますが、個人的には〇〇作戦と名前がつくものは正直苦手です。
【シン・ゴジラ】の場合も、最後に作戦が行われるのですが、退屈すぎて寝てしまいました。
【温泉シャーク】でも、緊迫感溢れるサメ殲滅作戦が行われますが、そのちまちまちた行動が眠りを誘いうとうとしてしまいました。
作戦やミッション系の展開がお好きな人なら楽しめると思いますが、どうしても退屈に感じてしまう自分は「殴り合って解決すればいいのに」と考えていました。
しかし、本当に最後は殴り合いの喧嘩になり、スカッとする最後で良かったと感じます。
さいごに
【温泉シャーク】を見てきた感想についてまとめてきましたがいかがだったでしょうか。
人間はたくさん死にますが、犬は死なないので、家族でも楽しめる映画になっていると思います。
音楽や音響もいいので、時間があれば映画館で観賞してみても良いかもしれません。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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