映画【ミッシング】の石原さとみさんがすごかった!傷つき立ち直っていく夫婦の葛藤ドラマ!

映画【ミッシング】石原さとみさんがすごかった!傷つき立ち直っていく二人の夫婦の葛藤ドラマ! 2024年映画

吉田恵輔さんの映画は、以前【ヒメアノ〜ル】を鑑賞したのですが、とても良い監督見つけた!と心の底から思い、新作映画が公開されるのを心待ちにしていました。

2024年5月17日、新作映画【ミッシング】が公開され、Xでは賛否両論の意見があり、少し不安もありましたが、劇場に足を運んでみました。

石原さとみさんは、日本のドラマで大きな活躍を見せてくれた女優さんですが、本作での彼女の演技が今までのどの作品よりも素晴らしいと感じました。

大切な娘を亡くしてしまった石原さとみさん演じる沙織里は、何度も何度も苦しさで咽び泣き、視聴者に深い苦しみを刻み込みました。

また、沙織の夫である豊を演じる青木崇高さんも、娘と同じ年頃の女の子を目で追いながら、涙を浮かべてタバコを吸っている姿には胸を締め付けられました。

映画【ミッシング】は人間の弱さや心の揺れ、無意識の悪に焦点をあてた傑作だと思います。

本記事では、【ミッシング】を実際に鑑賞してきた感想や、心に残った場面などについて触れていきます。

【missing】のあらすじ

映画『ミッシング』公式サイト|大ヒット上映中!
主演:石原さとみ×監督・脚本:𠮷田恵輔 × 企画:スターサンズ。マスメディアやSNSに溢れかえる情報という名の「人間の本音」。狂い切った世の中を斬る、衝撃の社会派エンターテインメント!

静岡の沼津市で暮らす三人の親子は、ごく普通の日常を過ごし、特別ではないが満ち足りた生活を送っていた。

夫の豊は漁港に勤め、時々娘の美羽の勉強を見てやったり、妻の沙織里はみかん農場でパートをしながら毎日美羽の髪を結ってあげていました。

しかし、沙織里が好きなバンドのライブに出かけている間、美羽は公園から自宅までのわずか300mもの距離で失踪してしまったのです。

沙織里と豊の必死の捜索も虚しく、失踪から3ヶ月経っても美羽は見つかることはありませんでした。

静岡のローカル放送局の砂田は、沙織里達の力になりたいと思い、捜索番組の特集を組みますが、沙織里が当日バンドのライブに行っていたことがネットで炎上してしまいます。

真摯に番組作りに打ち込む砂田でしたが、後輩が出世していくことに焦りを感じたり、より視聴率を求める報道体制に疑念を抱き始めます。

また、上層部からの指示により、美羽と最後に会っていた沙織里の弟の圭吾にインタビューを試みますが、世間がこの失踪事件に向ける目が大きく変わっていくことになります。

石原さとみさんがとてもよかった!!

石原さとみさんは、吉田恵輔さんの映画に深く傾倒し、出演のオファーを6年前から積極的に送っていたそうです。

人気女優である石原さとみさんを、吉田恵輔さんは映画でどのように演じてほしいか悩み、今までの石原さとみさんのキャラクターを破壊するような役柄の主人公の脚本を作り上げました。

出産を終え、一児の母となったさとみさんにとって、娘を失った母親を演じることは胸が張り裂けるほど苦しいことだったと思いますが、予想以上の演技を見せてくれたと吉田監督は語っています。

本来の石原さとみさんとはかけ離れた沙織里

【ミッシング】での沙織里の服装は、シンプルなフードパーカーに使い古された地味なもので、髪型もまだらに染められた茶髪を後ろで束ねているだけ、従来のキラキラした姿とはかけ離れているものでした。

さとみさんは、さらに沙織里になりきるために、ボディーソープで髪の毛を洗ったり、不健康な食生活に変えてみたり、娘がいなくなって余裕がない母親になりきるように努めたそうです。

過去に「キスしたい芸能人」に選ばられるほど魅力的と言われた唇は、わざとリップクリームを塗らずガサガサの状態で撮影に挑んでいました。

ここまでしっかりと役作りをしてくれた石原さとみさんに、感銘を受けずにはいられませんでした。

しかし、ふいに垣間見える首筋やうなじが、一般人以上のオーラを放っており、やはり美しさって溢れちゃうもんなんだなと思ってしまいました。

疲弊していく豊と沙織里

娘を失ってしまった沙織里を支える夫の豊は、『ゴジラ-1.0』の橘役を演じた青木崇高さんが演じています。

沙織里が、常に慌てふためき動揺しているのに対し、豊は沙織里をこれ以上動揺させないようにあえて自分の感情を押し込めています。

特に、沙織里がネット上で娘の目撃情報が寄せられた時、遠方のホテルで宿泊を余儀なくされますが、動揺する沙織里を必死に支える懐の深さと、すぐにもおかしくなってしまうのではないという脆さを感じました。

そして、職場の漁港で女の子の靴が見つかった時の表情や、一生懸命取引先に頭を下げて、美羽のポスターを配ってもらうところなどは、豊の必死さが手に取るようにわかりました。

映画内では、失踪から3ヶ月後、半年後、2年後と時間が急速に流れていきますが、時間の流れとともに二人がやつれていく様子も目が離せませんでした。

弟の圭吾との葛藤

美羽の失踪前に最後に会っていた、沙織里の弟である圭吾は、森優作さんが演じており、口下手で人と目を合わせられないという不器用な人物です。

圭吾は、美羽が失踪前にどのような様子だったかについて、なかなか口を開こうとせず、沙織里は圭吾にいつもイライラしている様子でした。

イライラしているだけでなく、時に手が出てしまい、髪の毛を掴んだり足で蹴ってみたり、沙織里を演じる石原さとみさんがこんなに暴力的になるとは思わず驚きました。

失踪事件のドキュメンタリーを作る砂田によって、圭吾の秘密が明らかになっていきますが、沙織里との関係の変化も大きく揺れ動くので目が離せません。

特に、二人が車の中でお互いの心のうちをぶちまけるシーンは、愛情と胸苦しさを感じました。

失踪から半年後のインタビュー

失踪事件の特集の視聴率が伸びず、砂田は今までにない演出を使って、美羽の失踪事件がよりドラマティックになるような映像を作ろうとします。

例えば、美羽の誕生日とは違う日にも関わらず誕生日ケーキを用意してみたり、チラシ配りの際に苦しそうな表情を見せてほしいと言います。

そんな砂田の期待に応えるかのように、失踪から半年後のロングインタビューは、娘を失った母親の苦しさを凝縮させたような声を沙織里は絞り出していました。

泣きながら美羽が描いた落書きを触っていると、カメラマンの不破が「そのセリフは虎舞竜のロードの歌詞とかぶるから…」と言います。

ここで、緊張の糸が切れてしまったように、崩れるように泣き喚く沙織里の弱さがとてもよかったです。

監督の吉田恵輔さんは、人間描写の鬼だと言われていますが、ここまで人間の生身の姿が描かれている映画は本当に貴重だと感じました。

人間の生身の葛藤が詳細に描かれている


吉田恵輔さんの映画では、主役だけなく脇役に関しても、一人一人生き生きと描かれていると感じます。

特に、失踪事件に直接は関係ないけれども、沙織里の力になりたいと思っている砂田の存在は、一種の救いでありながらも失望させられる存在だなと感じました。

報道現場に身を置く砂田

田舎のキー局に勤める砂田は、今年ドラマの主演も務める中村倫也さんで、真面目で思いやりのあるテレビマンを演じてくれています。

マスコミはいつも、真実を報道せず悪どいイメージがありますが、美羽の写真を見た時は心の底から「かわいい」と話していたのにほっとさせられました。

そんな砂田だからこそ、周りの圧力に抗うことができず、何も沙織里の力になれないのが身を裂くような思いを感じました。

誰かが辛い思いをしている時、空回りなことをしてしまって、全くその人のためにならずむしろ傷つけてしまったという経験は誰にでもあると思います。

そのような経験がある人には、砂田の気持ちが痛いほどわかるのではないでしょうか。

他人が夫婦を傷つけそして癒していく

良くも悪くも、他人という存在は困難の中にいる人達の救いになり、同時に失望させる存在になると思います。

美羽が失踪した際に、ライブに出かけていた沙織里を、掲示板で面白おかしく糾弾してみたり、圭吾の部屋に石を投げたりしました。

それ以上にも酷い仕打ちを受けた沙織里でしたが、同じ地区で失踪事件が起こったことで、沙織里の目線が変わっていきます。

美羽と同じくらいの年齢の子が失踪してしまったことで、ビラに彼女の写真を付け加え、美羽だけだなくその子の捜索にも力を入れるようになります。

沙織里が他者に目線を向けた時、他人の態度ががらりと変わり、今まで意識していなかった人が協力してくれるようになります。

そして、今まで何かが美しいと思う余裕がなかった沙織里の心に変化が起こります。

この映画は、苦しくて苦しくて仕方なかった人が、ふっと顔を上げて周りを見回した瞬間を描いた作品だと思います。

さいごに

映画【ミッシング】の印象に残った場面についてまとめてきましたがいかがだったでしょうか。

登場人物の感情を余すことなく描写した本作は、今年で一番感動した方が邦画作品でした。

映画館で夫と二人で鑑賞したのですが、6歳の娘を持つ両親として、とても興味深い映画だったと思います。

ぜひお時間があれば鑑賞することをお勧めいたします。

最後まで読んでくれてありがとうございました。

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