浅野いにおさん原作漫画【デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション】※以下デデデデは、前章が2024年3月22日、後章は同年の5月24日に公開されました。
前章の期待値が高かったせいか、後章は面白くないわけではないのですが、退屈な場面もあり、前章の壮大な答え合わせをしているようにも感じました。
映画が前編と後編に分かれているもので、前編の方が楽しかったと思う映画はなかなかないので、正直驚きました。
本記事では、デデデデ後編を鑑賞してきた感想や、良かった点と残念だった点について触れていきます。
前編でも触れましたが、声優さんの演技が素晴らしく、主演の門出とおんたん役のあのちゃんと幾田りらさんもハマり役でよかったです。
デデデデについて
高校最後のクリスマスに、友達のキホを亡くしてしまった門出とおんたんは、苦しさを胸に押し込めながらも受験を終えて都内の駿米大学に入学しました。
高校からの友達である、平間りんと出元亜衣と一緒にオカルト研究部に入った二人は、ひょんなことから宇宙船が地球にやってきた8.31事件で亡くなったアイドルグループメンバー大葉圭太と出会います。
しかし、大葉がくしゃみをすると頭がずれて上半分と下半分でずれてしまいました。
大葉自信も自分のことを「侵略者」と言い、8.31の事件の日に死の間際に近くにいた、大葉の体に自らを移植してもらったことで命を取り留めたことがわかりました。
そして大葉は人の記憶を覗く機械を使って、おんたんが門出を救うために、ある装置を使ったことが判明します。
男性陣がかっこいい
デデデデ後編で一番良かった点は、男性キャラクターが皆カッコ良すぎたところです。
特に前編ではあまり見せ場がなかった、大葉や小比類巻君の活躍は目覚ましく、こんなに女子をキュンキュンさせるキャラクターがいていいのかと驚きました。
前編に引き続き、渡良瀬と門出の仲は、見ていてじれったくなるくらい初々しくドキドキさせられます。
後編では、おんたんと大葉のくっつきそうでくっつかない、でもお互い思い合っているからキスをしてしなうなど、とんでもなく意地らしいシーンもあります。
また、脇役である田井沼マコトやオカルト研究部の尾城先輩も、優しくて誠実でほっと一息つかせてくれるキャラクターでした。
大葉君がかわいい
侵略者の大葉を演じたのは、人気声優の入野自由さんで、人間の世界に適応していくが中身はまだ子供の侵略者を上手く演じていました。
特におんたんとの関係は絶妙なところで、恋というものを気付いていない侵略者と、好きだとわかっているけれども気持ちをうまく伝えられないおんたんの、生々しい恋模様が眩しいです。
特におんたんを演じるあのちゃんは、前章でも触れましたが声優初挑戦ですし、入野さんが上手く引っ張ってくれたのか、素晴らしい仕上がりでした。
原作は読まずに挑んだ後編でしたが、二人の行く末が気になり、物語になんとか集中できたと感じます。
小比類巻君が見事なダークヒーローに
前編で亡くなってしまった、キホの恋人である小比類巻健一は、内山昴輝さんが演じています。
『呪術廻戦』の狗巻トゲなどでお馴染みの内山さんは、恋人を失ってダークヒーローになってしまった小比類巻にハマり役でとてもカッコよかったです。
前編では、ただのネット掲示板を読み漁る暗い奴だったのに、後編ではナイフを振り回し容赦無く侵略者を殺すシリアルキラーになっていて驚きました。
一体高校を卒業するまでの時間に、どれだけ実践を組めばこんなに戦闘系のキャラクターになれるか、そんな疑問を吹っ飛ばすほど爽快な闘いぶりでした。
ラブコメとしてはとてもクオリティが高い
デデデデの最大の魅力は、高校から大学生が憧れる、自分の知らない世界を知っている人と恋をするという恋愛模様なのではと感じました。
ノスタルジック溢れる背景と、門出とおんたんの初々しい反応は、10代から30代の視聴者にとっては共感と懐かしさを感じることでしょう。
前章でもふれましたが、足音の入り方や、門出の声の聞こえ方、そして挿入歌のタイミングに至るまで音響がものすごくいい仕事をしてくれているので、気持ちの昂りを上手に盛り上げてくれています。
また、門出は年上の先生と付き合っているにも関わらず、どうしても肉体関係には至らないところがとてもいいと思います。
おんたんも、勇気を出して大葉にキスをするところまでしか進展していませんが、恋をし始めた一番美味しいところを視聴者にみせるのが本当にうまかったです。
そして、二人の初々しさと相反するように、小比類巻君はお尻の大きな女の子と一緒に歩かせてみたり、より二人の純情さが際立つように演出していると思いました。
前章の復習のような展開
ここから少しネタバレを挟みますが、前章を視聴した人ならわかると思うのですが、おんたんが門出のために時間軸をやり直したことは既に皆気付いていたと思います。
そのため、おんたんの記憶を大葉が覗いて、その後さらにマコトに事細かに見せてくれなくても、良かったのではないかなと思いました。
前章で、泣きながらおんたんが門出につかみかかり、路上で馬乗りになるシーンがとても印象に残っていて、それ以上に二人の絆を訴えるシーンは後章ではなかったと思います(キスシーンはありましたが…)。
すでに、デデデデは前章で一番感動的なシーンを全てやってしまっていたように感じます。
バカすぎる大人達
原作者の浅野いにおさんは、女子高生や子供達の心の動きを描くのは上手いのですが、大人の心情にあまりにも無頓着なところが気になります。
特に、政治関連のことがわからないなら、そのまま触れずに置いておけばいいのに、その人達の心情は全く考慮せず言いそうなことを並べていきます。
これまで日本や国勢は、様々な問題に取り組んできたと思いますが、未曾有な事態があった場合、間違いなく国民をなんらかの方法で避難させると思います。
宇宙船のエネルギーからF原子と呼ばれる物体を検出し、それを研究して脱出用の宇宙船を作ることができる人達が、国民を捨てて逃げるという選択肢をとることはないと思います。
前章でも触れましたが、どうしても大人を悪者にしたいんですね…。
オチの端切れの悪さ
後章は、大人達がうだうだとリアリティのない話ばかりするので、どうしても眠くなりあまり物語に集中できませんでした。
そのため、映画が終わった時は「ああ、「やっと終わった…」と安堵するような気持ちになりました。
デデデデは、おんたんと門出の友情と青春を味わうための映画であって、オチの端切れの良さは求めては行けなかったんだなと感じました。
はっきり言って、別に前章でパキッと終わらせてもよかったのではと感じてしまうほどです。
映画でのオチも、疑問が残ることがいくつかあり、この後おんたんと門出がどうなってしまうのか気になりました。
しかし、原作はこの後も展開がいくつかあるそうなのですが、浅野いにおさんの話は話を遠回りによくわからないところを通っていって途中で飽きてしまうのが目に見えています。
原作については5巻まで読んだのですが、その時点でもう飽きてしまったので、今後時間があれば読んでみようかなと思っています。
さいごに
映画【デデデデ】後章を劇場で鑑賞してきた感想をまとめてみましたがいかがだったでしょうか。
前章に比べて、映画のクオリティは落ちてしまいましたが、音響がとても良いので劇場で鑑賞して損はないと思います。
浅野いにおさんの漫画が好きなら、気にいると思いますが、正直原作が好きではないのでオチの端切れの悪さを感じてしまいました。
SFとして見るのではなく、ラブコメとして楽しむならありな作品だと思います。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
前章のレビューはこちらから↓
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