アカデミー賞受賞【ゴジラ➖1.0】をアマプラで見てみた感想をネタバレありで語ってみた

アカデミー賞受賞【ゴジラ➖1.0】をアマプラで見てみた感想をネタバレありで語ってみた ゴジラ-1.0

アジアで初めて、アカデミー賞視覚効果賞を受賞した、2023年の大ヒット映画【ゴジラ−1.0】が、2024年5月にとうとうアマプラで配信が始まりました。

ゴジラ映画は、白黒映画の初期のものや、【シン・ゴジラ】を観たことがありますが、正直面白さを感じることはできませんでした。

しかし、【ゴジラ−1.0】は迫力のある映像と、主役の敷島役の神木隆之介さんの演技も素晴らしく、昭和の雰囲気を大切にした舞台小物やセットが完璧すぎて驚きました。

特に、敷島、秋津、水島、野田が、木造の船でゴジラから逃げるシーンは、迫力満点でゾクゾクしました。

本記事では、アジアで初めてアカデミー賞視覚効果賞を受賞した【ゴジラ−1.0】を観た感想を、ネタバリありでまとめてみました。

正直、2023年アカデミー賞を最も多く受賞した【オッペンハイマー】よりもはるかに魅力的であったと感じます。

しかし、日本映画特有の学芸会のようなセリフ回しは、作品がよくできているのだからやめて欲しいなと感じます。

【ゴジラ-1.0】のあらすじ

戦闘機の操縦に優れた主人公の敷島は、特攻に出るように指令を受けましたが、飛行機が壊れたと嘘の申告をして小笠原の大戸島に着陸しました。

その夜、村に代々伝わる怪物「ゴジラ」の襲撃にあい、大戸島で飛行機を直していた整備士の橘と敷島以外の兵士は、ゴジラに襲われ死亡してしまいました。

まもなく、戦争が終わり、敷島は自分の両親の家を訪れますが、空襲で二人は亡くなってしまったことを隣人の澄子から知らされます。

気力を失い、呆然と闇市を歩いていた敷島は、そこでボロボロの服を着た典子と、典子が拾ったという身寄りのない赤ちゃん明子と出会いました。

成り行きで一緒に暮らすことになった三人は、職を見つけ家を修復し、少しずつ戦争の混乱から立ち直っていきます。

しかし、ゴジラは再び敷島の前に現れ…。

アカデミー賞を獲った【ゴジラ-1.0】のVFXがすごい!

【ゴジラ-1.0】のゴジラは、昔のゴジラのようなハリボテ感はなく、さらに映像で作っているにも関わらずリアルな質感があってよかったです。

口の中の牙や歯茎、そして唾なども生々しく、容赦無く人間たちを踏みつけていくの姿に恐怖を感じました。

生身の人間のアクションと、VFXが見事に混じり合っており、不自然な感じが全くありません。

特に、銀座をゴジラが襲撃するシーンは、逃げ惑う人々と建物を壊しながら歩いていくゴジラはまるで本物のようでした。

電車の車両が落ちていくシーンも、肝がヒヤヒヤするようなスリリングさがあり、この興奮を何度も見るために映画館に足を運んだ人の気持ちがよくわかりました。

ゴジラが熱線を噴射する時に、背鰭が青く光り、尻尾の先から順に突き出していき、最後に思いっきり爆風と熱線を吹き出すシーンはとてもかっこよかったです。

役者がいい

怪獣を本気で怖がることができる役者を採用したと、山崎監督はおっしゃっていましたが、まさにその通りで役者達の演技は最高でした。

主役の敷島を演じる神木隆之介さんはもちろん、ゴジラに襲われてしまう兵士まで、一人一人ゴジラを恐れて逃げ惑っているのがよかったです。

特に、ゴジラに襲われ、兵士たちが次々と殺されるところを目の当たりにした、橘を演じる青木崇高さんが泣き叫ぶ姿は可哀想で見ていられなかったです。

わかりやすいオーバーリアクションの演技は、言葉が通じないアメリカ人でも受け入れやすかったため、アカデミー賞として評価される要素の一つになったのではと推測します。

三人トリオがとても良い

敷島は、明子と典子を養うため、海に放置された機雷を撤去する仕事に就きますが、仕事仲間である秋津、野田、そして水島のトリオの掛け合いが楽しかったです。

一人一人のキャラが立っており、三人が敷島と一緒に仕事をして、辛い日々から立ち直る手助けをしてくれているのがよくわかりました。

お節介で頼もしいけれども少し抜けたところがある秋津も、飄々としている割には科学知識を熟知した野田と、最後まで自分のできることを精一杯やり抜いた水島は魅力的でした。

特に三人がボロボロの木造船で、水の中から猛スピードで襲ってくるゴジラから逃げるシーンは、皆の演技とゴジラの怖さで驚くほど緊迫感のある映像になっていました。

ここ最近見た映画の中で、一番良いチェイシングシーンだったと感じます。

改めて、秋津役の佐々木蔵之介さん、野田役の吉岡秀隆さん、水島役の山田裕貴さんには拍手を送りたいです。

昭和の風景の再現度が高い

【Always3丁目の夕日】や【永遠の0】など、昭和の時代と戦闘機を数多く描いてきた山崎貴監督は、【ゴジラ-1.0】の舞台セットもほぼぬかりなく完璧に仕上げてきました。

部屋に置いてある、箪笥や鏡、子供のおもちゃにいたるまで、どれも古いけれども物が豊富でない時代に大切に使われた昭和の質感がありました。

ゴジラに襲われて逃げる人々も、それぞれ戦後に流行した髪型や服装を忠実に再現しており、エキストラに至るまで指導が行き届いていると感じました。

また、敷島が乗る戦闘機の飛行機、軍艦の重厚感は本物で、鉄の質感が綺麗だと感じました。

セットや衣装についてなら、昔リアル感にこだわって映画を作った黒澤明や溝口健二さんの作品にも匹敵するのではないかと思ってしまったほどです。

令和になって、昭和の記憶が薄れている中、昭和の時代を忠実に再現できる山崎監督の実力は間違いないと感じます。

台詞回しが学芸会なのが残念

山崎監督の脚本は、一人が一言喋ったらまた次の人が喋る学芸会方式で、台詞回しが本当に嘘くさいなと感じます。

せっかく役者が演技に入っているというのに、さっと場面を変えたり、いまいち物語に集中できないセリフ回しにイラッとさせられました。

典子がゴジラを初めて目にした時も「あれが…ゴジラ…」と、いかにも演出的に呟やきますが、そんなセリフを言っていられる余裕があるのかと疑いたくなります。

ゴジラを倒すために会議をしている時も、その作戦が命懸けの任務であることを知った志願者達が「我々だけがなぜ貧乏くじをひかねばならんのですか」「戦時中みたいなわけにはいかんのですよ」と、どこかで聞いたような紋切り型のセリフを順番に口にしていきます。

そして、次々と志願者達が帰っていく中、一人の男が「俺、絶対死ぬってわけじゃないですよね」と言い「じゃあ誰かがやらないといけないんでしょ」とまた他の人が言って、今までの諦めムードが一気にやる気ムードに変わります。

こんなに大衆の意見があっさり変わることなんて、現実的にはあり得ないのに、映画だからいつものノリでこんな感じがいいよねで済ましてしまうところが、山崎映画の好きになれないところです。

脚本家や監督は、映画を通して何かを視聴者に見せたい物だと思うのですが、思ったことをそのまま役者に喋らせるのは、あまりにも陳腐だと思います。

役者は監督の代弁者ではないはずなのですが…。

どんなに拘って本物の質感を出せるセットとVFXがあっても、どうしてもおままごとみたいな映画にしかならないなと感じます。

典子の存在に違和感

典子は敷島に、「死んではダメです!」「あなたの重荷私が背負います!」と言う割には、敷島が悪夢を見て典子に抱きついた時は、思いっきり突き飛ばしました。

住居も食も施してもらいながら、敷島を優しく抱きしめてあげることもしないのは、自分勝手で冷たい女だなと感じました。

その後、どんなに典子が敷島を慰めても、なんだか言っていることが表面的で薄っぺらいなと感じてしまいました。

敷島も、よく典子を家に置いてあげたと思いますし、秋津に「典子と結婚しているのか?」と聞かれた時に、嫌そうな顔で違うと吐き捨てたのも納得が行きます。

典子は、敷島を表面上優しくしているように見えますが、敷島を受け入れてはいないのだと思うと、ただの穀潰しに見えてきて胸糞悪いです。

赤ちゃんの明子だけ、育てると言う展開でも良かったのだともいますが、日本映画にはお飾りのヒロインがどうしても必要なようなので仕方がなかったのだと思います。

さいごに

【ゴジラ-1.0】を鑑賞してみて、正直な感想をまとめてみましたがいかがだったでしょうか。

初代のゴジラは、ストップモーションを使わず、恐竜の着ぐるみを被った演技と合成動画を組み合わせた斬新な技法を生み出し、世界中を驚かせたと聞いています。

【ゴジラ-1.0】も、初代のゴジラと同じように新時代の映画を生み出したことで、見事アカデミー賞を獲得できたのではと感じます。

今ならアマプラで視聴することができるので、興味が出たら是非見てみてくださいね。

最後まで読んでくれてありがとうございました。

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