2019年に今までのジョーカー像を打ち破るトッド・フィリップス監督の【ジョーカー】は、瞬く間に世界で話題になり大ヒットを記録しました。
そして、5年の歳月をかけて作られ、世界中から期待されてきた【ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ】は、公開されるやいなや酷評の嵐が批評サイトに流れてきました。
前作の【ジョーカー】を見て感動した人達の中には、「こんなのジョーカーではない」と批判し途中で劇場をでようかと思ったという人もいました。
そのような評判を聞いて、劇場で鑑賞しようか迷ったのですが、既に前売り券も購入していたので、おそるおそる劇場に足を運びました。
しかし、酷評を散々みていたせいか【ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ】は、ミュージカル映画好きの自分にとって予想以上に楽しめる映画でした。
前半は若干退屈に感じ、うとうとした場面も多かったですが、レディ・ガガの力強い歌声とホアキン・フェニックスの演技に惹きつけられ、後半に進むに連れてじんわりと心に響く映画でした。
特に【ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ】のラストシーンは、ここ最近観た映画の中でも特にインパクトがあり考えさせられる最後だったと思います。
本記事では、酷評されている【ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ】の個人的に良かったなと思う場面と悪かったなと思う点などについてまとめてみました。
賛否両論の意見が巻き起こっていますが、ミュージカルシーンが嫌いでなければ、劇場で鑑賞しても損はない映画だと思います。
【ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ】のあらすじ
心優しいコメディアンを目指していたアーサーでしたが、苦痛を感じると笑い出してしまうなどの神経症を患っており、ピエロとしての仕事が上手くいかず首になってしまいます。
失望の中地下鉄に乗っているたアーサーは、持っていた銃で絡んできた会社員の男達三人を撃ち殺してしまい、その後も殺人を繰り返していきます。
さらにテレビ中継中に、アーサーがずっと憧れてきた有名コメディアンであるマレー・フランクリンを撃ち殺したことで、アーサーはダークヒーロー「ジョーカー」として知られるようになってしまいます。
結局逮捕され収監されたアーサーは、意地悪な看守達にからかわれたり憂鬱な日々を過ごしますが、ある日謎の女リーと出会い恋に落ちます。
裁判を控えたアーサーは、恋の喜びに心が震え、リーに震いたたされて再びジョーカーとして脚光を浴びようとしますが…。
【ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ】公式サイト→https://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie
確かに初めて恋を知ったアーサーを見ていられない
今まで妄想の中でしか女性と関わったことがなかったアーサーですが、【ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ】では初めて生身の女性と接し恋する喜びを知ります。
あまりにも嬉しすぎて、前作の【ジョーカー】に比べて【ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ】では、アーサーが歌って踊り出す場面が多く見られます。
若くてダンスの上手いプロ達が踊るのならいいのですが、どう考えても40代を過ぎているアーサーと綺麗だけど30代はとうに過ぎてしまっているリーが一緒に踊るのはちょっと滑稽に見えてしまいます。
でも二人が踊っている世界は、あくまでアーサーの幻想の世界であって、誰かに披露するものではなく、心から楽しそうに恋する喜びに震えているのがなんとも言えなくなります。
嬉しいのはわかるけど、傍観者としてはなんとも言えない居心地の悪さを感じるので、酷評される理由もわかるような気がしました。
脚本の中弛みが目立つ
【ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ】は、前半は脚本のテンポが悪く、さらに弁護士との面会などの難しい話が続くので正直眠気を感じてしまいました。
看守の陰湿でつまらないいじめや冗談、むやみに絡んでくる囚人と、前作以上に消耗したアーサーの顔を見ていると重くて暗い気持ちになります。
さらに、裁判の応答などもどうしても眠くなるシーンが多いので、このテンポの悪さで席を立ってしまう人も多いかもしれません。
しかし、後半になるにつれて展開が早くなり、アーサーの心情がよりあらわになっていくので急に面白くなっていきました。
特にミュージカルや歌が好きなようでしたら、アーサーの心情をホアキンの色っぽいハスキー声でしっとり歌い上げてくれるので、アーサーの苦しさや悲しみがより伝わってくるように感じます。
レディ・ガガとホアキン・フェニックスの美しい歌声
【ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ】のリー役は、世界的に活躍しているミュージシャンレディ・ガガで、その歌声は本作でも力強く惹きつけられるものでした。
またホアキン・フェニックスも、2000年代に歌手を志していた経験があったそうで、美しい歌声を披露してくれて、ミュージカルの場面は思っていたよりも悪くありませんでした。
特に、リーとアーサーが面会をする時、カーペンターズの「close to you」をしっとりと歌い上げるのですが、まるで魔法にかかったようなうっとりするシーンでした。
そして面会室のガラスの壁に、赤い口紅でにっこりと笑った口を描くのですが、アーサーはその口紅に合わせてジョーカーの顔で微笑む姿はゾッとさせるような美しさがありました。
良いミュージカル映画は、歌でどれだけ人の心を揺さぶることができるかだと思うので、レディ・ガガとホアキンのコンビの実力は予想以上でした。
ただ、ダンスに対しては二人ともあまり慣れていなかったせいか、バストアップのショットが多く、若干スケールの小ささを感じるところもあるかもしれません。
しかし、ホアキンの演技と歌、そして二人の甘ったるい雰囲気は一見の価値があると思います。
ゲイリーの証言
前作では、アーサーはゲイリーの前で同僚のランドルを殺してしまいますが、目撃者であるゲイリーをアーサーは逃してしまいます。
なぜアーサーはゲイリーを逃してあげたのか、歯の間に引っかかった小骨のようにずっと気になっていました。
しかし【ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ】では、ゲイリーが裁判の証言台に立つことで、彼の心のうちが白日の元に晒されます。
ゲイリーの証言を聴くアーサーは、ジョーカーとしての顔を保てずわなわなと微かに震えていました。
極悪非道なジョーカーを見たい人には、このような人間的な反応をするアーサーは、あまりみたくないかもしれないですが、この場面のホアキンの演技は完璧であったなと感じます。
ゲイリーが、どんな証言をしたのかはぜひ劇場で確認してみてもらいたいです。
さいごに
【ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ】を鑑賞して、良かった点と悪かった点についてまとめてみましたがいかがだったでしょうか。
前作の【ジョーカー】上映後、日本でも模倣犯が出てきてしまった過去がありますし、どうしても火消しとしての続編が必要であったのではと思います。
さらにホアキンもレディ・ガガも、最高の仕事をしてくれたと思います。
酷評に流されず、ぜひ一度は目を通してもらいたい作品です。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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