漫画大国日本に生まれたからには、老若男女問わず漫画に触れてきた人は多いことでしょう。
そんな目が超えた漫画好きの人でも、こんな漫画読めない、でも気になると思う漫画がいくつかあるのではないでしょうか。
本記事では、読み進めるのに勇気が必要ですが、大人だったら読破しておいたほうがよい漫画をピックアップしてみました。
今から紹介する漫画は、お金や人生、愛情や家族、夢や理想に苦しむ大人達に救いの手を差し伸べてくれると自負しています。
新入社員は「ナニワ金融道」は読むべき
大人だったら必ず読んでおくべき漫画1位といえば、ナニワ金融道を推される人は多いのではないでしょうか。
銀行の新入社員が1番初めに読まされる漫画で、お金を借りて返せなくなるとどのような悲劇が待っているのか、実際に金融系の会社に勤務していた青木雄二さんが赤裸々に描いています。
ごく普通の工場の作業員だった灰原は、度々社長に頼まれてローン会社に借金をしていましたが、とうとう会社が倒産してしまい無職になってしまいました。
金融会社に再就職をしようと考えた灰原は、入念に勉強をした上で、面接に挑みます。
しかし、面接官は灰原に借金があると分かった途端態度を一変し、灰原は不合格になってしまいました。
あんた!雇う雇わんはこちらの勝手なんやで!
金を貸す貸さんもこちらの勝手や
金融業とはそういう考え方で成り立っとんのやで!!
引用:青木雄二「ナニワ金融道」講談社
そして、灰原が就職できた金融会社はいわゆる闇金と呼ばれる会社でした。
最初は追い込みに同行したり、依頼人を追い込むことに抵抗を感じる灰原でしたが、徐々にそのシビアな世界に順応していくことになるのです。
「不渡り」「夜逃げ」「追い込み」「差し押さえ」…他にも水商売やマルチ商法…
どこでもいつでもお金のトラブルはついて回るものなので、知識とお金は常に備えておくべきなのでしょう。
ビッグになりたいあなたに「極悪がんぼ」
子供の頃は親に、よい学歴を持つように言われていたけれど、そのひかれた道をドロップアウトをしてしまうとどのような人生が待っているのか…。
主人公の神崎は、同じ職場で高卒の同僚と中卒の自分とでは給料が違うことに激昂します。
いつかビッグになりたいと夢をみていた神崎は、とうとう同僚に誘われてカード偽造に手を染めてしまいます。
偶然にもヤクザのカードを盗んでしまった神崎と同僚は、悪行がバレて二人とも取り押さえられてしまいました。
同僚は、実家のお金を頼ることができたため解放されましたが、神崎はヤクザにお金を用意することができませんでした。
そして神崎は、炎天下の中で厳しい肉体労働を強いられる海洋土木の仕事に従事するよう強要されます。
惨めな暮らしはもうしたくない!神崎は自力で島を脱出し、ハタ秘密探偵事務所で働くことを契約します。
ビッグになりたい!と叫ぶ神崎に、年2000万円の看板料と多額の借金がのしかかりますが、果たしてどのようにお金を稼ごうとするのでしょうか。
「極悪がんぼ」では「闇金ウシジマ君」のように、リアルな犯罪に手を染めていきますが、気持ち悪い描写はなくより現実にいそうな人間模様を観察できます。
特に神崎が刺されたところや、会社が倒産した社長の奥さんが、身投げした主人の血を必死で拭っているシーンはトラウマものです。
原作者の田島さん自身も高校中退を経験し、行政書士の資格も持っており、ナニワ金融道でも後半の物語作りに貢献したそうです。
同じように青木雄二さんの元で、アシスタントとして働いていた従兄弟の東風孝宏さんが、作画を担当しています。
全貴腐人が涙した「日出処の天子」
私が紹介するのも恐れ多いほどの大作ですが、永遠に語り継がれてほしい名作です。
貴腐人だったら、泣いて喜ぶボーイズラブに溢れた本作ですが、もちろんノーマルな人でも男性でも考えさせられる深い作品です。
母親に愛されてこなかった厩戸王子(聖徳太子)が、歪んだ愛情を持ち、その特異な気質で崩れていく様に涙すること間違いなしです。
『日出る処の天子、書を日没する処の天子に致す』という文書が、こんな状況で作られていたのなら最悪だなと感じます。
「ピアニシモでささやいて」で少女の時代を終わらせる
高校生のときにこの漫画を読んで、ああもうシンデレラにはなれないんだ、王子様って来ないんだと気付きました。
生まれながら音楽の才能に恵まれていた主人公の朱は、産みの母親から引き離され、父親と継母の元で音楽を学び英才教育を受けてきました。
しかし、二人は交通事故で亡くなってしまい、再び実の母の元に戻ってきた朱は音楽について話すことを強く禁じられました。
母親に好かれたい朱は、音楽の道を諦めたように振る舞っていましたが、こっそり曲を自作して再びスポットライトに照らされる日を期待していました。
また、親友の香菜子が歌手としてデビューするのを知り、ますます歌いたいという気持ちが抑えられなくなっていきます。
そして、朱の音楽の才能に気付いた伝説の音楽家である渡会一意(わたらいかずい)に引き取られたことによって彼女の人生は一変します。
一気に音楽の才能を開花させた朱は、トップシンガーとしての道を歩き始めます。
しかし、その華やかな道のりは困難と苦痛を伴うものでした。
母親との確執を乗り越え、親友の裏切りを許し、愛した人との決別を果たした朱の行く先きとは…。
最後の朱が歌う魂のこもったライブは、ライヴエイドにも引けを取らない感動を味わえることでしょう。
夢を叶えたい女子に送る「&」
ドラマ化された「サプリ」でもお馴染みのおかざき真里さんですが、こちらの漫画も十分すごいです。
女性の全ての感情や心の移り変わりを、熟知されているのではと感心させられます。
また、絵柄も流れる線のようで美しく、薫の心情によって背景がふわっと華やかになるので、まるでミュシャの絵画をみているような気持ちになれます。
医療事務として働く薫は、ネイリストとして店を構えたいという野望をもっていました。
店の物件探しに頓挫していたところ、元後輩のシロと偶然出会った薫は、シロの会社の1階を借りてネイルサロンを出店することに成功します。
昼と夜の仕事の両立に戸惑う薫は、恋人である医者の矢飼を心の支えとして常に夢に向かって努力してきました。
しかし、矢飼の過去が明らかになり店の売り上げ状況も悪くなってきた時、薫を救った言葉とは…。
理想と夢を追い続けた薫が、現実と向き合い成長する物語で、病院での労働環境の辛さなども事細かに調査され描かれています。
人間の苦行を描くのに長けたおかざき真里さんは、「&」のような漫画を描いてから、仏教をテーマにした「阿吽」を描こうと思ったのかなと感じました。
ネット社会の闇を赤裸々に綴った「奈落の羊」
↑kindle、コミックシーモア読み放題に登録すると無料で読むことができます。
一時期広告でうるさいくらいに流れた本作ですが、女の子が床に落とされたパフェを口だけで食べるシーンを覚えている方も多いのではないでしょうか。
ネット配信にハマり、バズる話題を探していた修二は、吃音持ちで身寄りがなくネットカフェで売春する生活を送るメイと出会います。
修二は、メイをホテルに呼び寄せ、メイのドキュメンタリーを撮らして欲しいといい、まず手始めに弁当を手を使わずに食べるよう強要します。
修二は、配信者からお金を巻き上げるために、人間扱いしない過酷な行動を強要します。
なぜこんなに酷いことをするのかと戸惑う読者も多いでしょう。
しかし、最後まで読むと修二も相当追い詰められていたことがわかり、胸糞悪さがさっとなくなりました。
奈落に落ちそうになりながら必死にしがみついている修二が、落ちてしまったメイに「登ってこい」と手を差し伸べる漫画です。
発達障害に苦しむ人に必ず勇気を与える「アスペル・カノジョ」
人付き合いが苦手で、同人誌の販売と新聞配達でなんとか生活をしていた横井のもとに、ファンだと名乗る斎藤という女性が突然やってきました。
斎藤は、高校生の時にひどいいじめを受け、リストカットを繰り返し薬を常服していましたしたが、横井の同人誌を読み心が救われたと話しました。
横井は斎藤の気持ちに寄り添い、彼女とのささやかな日常を守るために約束事を決めますが、二人の同棲は予想以上に厳しいものでした。
本作が非常に勿体無いのが、一巻でヒロインが犬に本気の蹴りを入れてしまうところです。
このことで、全国の犬好き達を一斉に敵に回してしまい、なかなか人気が伸びなかったかわいそうな漫画です。
しかし、この漫画の正しい読み方は7巻から読むことなんです。
犬を蹴ってしまった苦しい斎藤の心情もわかるし、そんな彼女に惹かれ同棲を始めた横井がどれだけ苦しんできたのかがわかります。
どうやっても生きづらい二人が、もしも二人が子供の頃から出会っていたらどうなっていたのか想像を巡らせながら、カノジョが生まれ育った島根を歩く様子がノスタルジックで素晴らしいです。
7巻を読んで先が気になったり、もっと二人について知りたいと思ったら、是非他の巻も読んでみてください。
加害者は徹底的に罰を受けるべき?「君が僕らを悪魔と呼んだ頃」
↑マガポケで無料で読むこともできます。
半年間行方不明だった後に、記憶喪失になった悠介は、ナイフで人を斬りつけるフラッシュバックに悩まされていました。
しかし悠介は、過去の記憶が思い出せないながらも、彼女の環や優しい友達に囲まれて、それなりに楽しく過ごしていました。
そしてある日、バイト先の友達であるシュウから突然恐ろしいカミングアウトを受けます。
シュウは中学生の時悠介と同級生で、悠介から暴力やカツアゲなど酷いイジメを受け、熱湯を背中に浴びせられ一生残る火傷を負わされたと言いました。
それから、悠介の過去を知る人物が続々と現れ、悠介が中学生の時に強姦やカツアゲ暴力などを使って、クラスを支配していたことが明らかになりました。
最悪な過去に苦悩する悠介でしたが、たった一人自分の失踪に関わった一ノ瀬明里を追い、過去に向き合い始めます。
とにかくレイプシーンが残酷で、最初は吐きそうになってしまって読むことができなかったのですが、勧められてなんとか最後まで読みました。
女性は読む場合は注意が必要で、もうそういうシーンが出てきたら飛ばして読んでも構わないかもしれません。
しかし、後半の展開が神がかりで、三つの話を同時に進行させるという荒技にハラハラドキドキさせられます。
そして、昨今の「やらかしてしまった奴には何をしてもいい」という集中攻撃に激しく警告を鳴らしています。
狂気に満ちた傑作「私の正しいお兄ちゃん」
真面目で勉学とバイトに明け暮れる理世は、最近眠れないから添い寝して欲しいとバイト先の海利に頼まれます。
理世は、生き別れてしまった兄の正己に異常な執着をもっていましたが、段々と海利に惹かれていきます。
しかし、海利が人を殺してしまった過去があると知り、さらに正己の遺体が見つかったという報告をきいた理世は…。
全4巻という比較的短いお話なのですが、サスペンスの作り込みが上手く、物語に引き込まれて動けなくなります。
二人の心理描写も見事で、お互いの世界を守るために、もう後には引けない道を選んでいく姿に唖然とします。
善行を重ねることは間違っていないはずなのに、どうしてこんな結果になってしまったのか…読み終わった後も何度も考えさせられました。
神様に抗えるか…「千年万年りんごの子」
捨て子で早く実家の寺を離れて独立したい、そう考えていた雪之丞は、お見合いで出会った朝日の家に婿入りすることをすんなり受け入れました。
雪之丞は、朝日の実家である青森でやったことのないりんご農場の仕事に戸惑いますが、徐々にその生活を受け入れていきます。
寒い冬の頃、朝日は突然熱を出してしまい、雪之丞は配達の帰りに不思議なりんごの木をみつけその実を朝日に食べさせてやりました。
しかし、そのりんごは「おぼすな様のりんご」で、その実を食べた者は、おぼすな様の嫁になることがわかりました。
朝日は髪と爪が人間離れした速さで伸び、反対に背は低くなり子供のように変化していきました。
そして、雪之丞とすごした大切な思い出も少しずつ忘れていってしまいます。
雪之丞はなんとか呪いを止めようとしますが…。
人間の力では、世の中どうにもならないことがあると思うことってありますよね。
この漫画は、息子が障害児であることを知った時によく読んだ漫画で、現実を受け入れる手助けをしてくれたと思います。
作者の田中相さんは、美大出身だそうで美しい風景や動物に癒されます。
さいごに
胸糞悪くても大人が読むべき漫画10選を紹介しましたがいかがだったでしょうか。
どれも名作ばかりですので、暇な時に是非一つ読んでもらえると嬉しいです。
大人が大切にしなくてはいけないことは、現実に立ち向かうことだと思うので、是非これらの漫画を読んでみて生きる活力に役立てて欲しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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