映画【ザ・セル】の犯人はビリー・ミリガンがモデル?多重人格の心の中を表現した世界観

映画【ザ・セル】の犯人はビリー・ミリガンがモデル?多重人格の心の中を表現した世界観 The Cell

先日、アマプラでターセム・シンの【ザ・セル】を視聴したのですが、犯人のカール・スターガーをみていると、ある犯罪者の存在を意識せざるを得なくなりました。

それは1997年に連続婦女暴行事件と窃盗を行いながらも、多重人格という精神病を患っているとされ無罪になったビリー・ミリガンでした。

二人の髪型は、金髪でロン毛風であり、心の中では闇の帝王と小さな子供が混在していました。

幼少期にトラウマを負ったカールは、正に幼少期に性的虐待を受け、何人もの人格を生成して犯罪を犯したビリーそのものでした。

かつて全米を震撼させた凶悪犯ビリー・ミリガンへのアンサーとして、【ザ・セル】という映画が作られたのではないかと思いました。

輪切りになった馬や、カールの記憶に残っていた洗礼の意味についても、Netflixのビリー・ミリガンのドキュメンタリーを参考に調査していきます。

なお本記事は、映画【ザ・セル】のネタバレを多く含みますので、アマプラで鑑賞してから見てもらえればと思います。

【ザ・セル】のあらすじ

小児精神科医のキャサリンは、特殊な機械で患者の心の中に自分の意識を移動させる治療法を行なっていたが、患者のエドワードの心中にうまく入り込むことができず悩んでいました。

しかし、殺人犯に監禁された女学生を救うため、キャサリンは分裂病で眠ってしまっているカール・スターガーの心の中に潜入することになりました。

カールの心の中には、幼い怯える子供と、背中に吊り輪のピアスを何個もつけた屈強な男が支配していました。

キャサリンは、監禁された女学生の居場所を突き止めようとしますが、次第に意識内の世界に閉じ込められ、現実世界で昏睡状態になってしまいます。

ビリー・ミリガンについて

1977年、オハイオ州の大学内で女学生が相次いて性的暴行にあうという凶悪な事件が発生しました。

調査の結果、犯人はビリー・ミリガンという22歳の青年であることがわかり、警察は彼の家に潜入し逮捕に至りました。

しかし、ビリーの様子はどこかおかしく、自分はビリーではなくダニーと言い始めました。

精神科医が鑑定を続けていくと、ビリーは幼少期に受けた虐待のために、多重人格という病気を煩い24もの人格を持つようになってしまったことがわかりました。

ビリーは、三人の女性に乱暴し金品を強奪したのには間違いありませんが、それはビリーではなく彼の悪の人格が行ったことが分かりました。

そのため、ビリー自身の責任能力がなかったとされたため無罪となり、彼は精神病棟で治療を受けることになりました。

カール・スターガーとビリー・ミリガンの比較

【ザ・セル】のカールとビリー・ミリガンを比較すると、まず見た目も髪型もとても似ていることがわかります。

逮捕された時のビリー・ミリガン
引用:ダニエル・キイス「24人のビリー・ミリガン」早川書房

ビリー・ミリガンは、一見女性に乱暴をするような青年には見えず、顔立ちは整っておりどこかおどおどとした佇まいが目立ちました。

カール・ルドルフ・スターガー
引用:https://cineparade.eklablog.com/the-cell-a144752066

カール・スターガーも、顔立ちは整っておりながら長髪で髪の色も髪型もビリー・ミリガンに似ています。

また、カールは警察に潜入される前に、子供が歌うような童謡を歌っており、まるで子供のような仕草をみせています。

そして、女性を見ている時やくつろいでいる時に、視界がぼやけカ頭の中に声が響きカールの中の凶悪な人格が表に出ようと暴れ出します。

ビリーも勾留された際に、ダニーという男の子の人格が現れ、子供らしい仕草を見せ「女性以外と話したくない。男の人はここから出ていって」と懇願したそうです。

輪切りにされる馬

キャサリンがカールの意識に潜入した際、一匹の美しい馬が輪切りにされるのを見て、ショックを受けるシーンがあります。

これは、ダミアン・ハーストの作品をオマージュしたと思われますが、カールの人格がバラバラになってしまったことも暗示しています。

輪切りにされた馬の内蔵は、ぴくぴくと動いており、一つ一つのパーツが生きていることがわかります。

カールの人格も、それぞれの人格がカールの中で息づいており、それぞれ思い思いに行動していたのかもしれません。

カールとビリーの過去

カールとビリーは、幼少期虐待を受けていたという共通点があります。

ビリーは、実の父親が自殺し、継父にひどい虐待をされてきたため、多重人格が発症してしまったと言われています。

裁判の際に、彼の受けてきた恐ろしい虐待の数々が露呈し、人々の同情を誘い無罪になるように世論を誘導したとも言われています。

カールも、継父からアイロンで火傷させられたり、肋骨を折られるなど酷い虐待を受けていたのをキャサリンは目撃しました。

また、カールが人形遊びなどの女の子らしい遊びをしていることも、カールの継父は気に入らなかったことがわかります。

実は、ビリー・ミリガンの中にも女の子や女性の人格が何人か混在しており、カールにももしかしたら女の子の人格が頻繁に現れていたのかもしれません。

男性の見かけで、女の子そのものの仕草をするカールを、古い考え方をもった継父は許せなかったのかもしれません。

また、キャサリンがカールの意識の中に潜入した時、筋肉質な女性がいましたのでカールの中に女性人格がいた可能性は高いと思います。

苦しみから逃げるために

カールの精神世界は幻想的でどこか魅力的であり、人が現実の世界から逃避する場所のように感じます。

精神治療の性能があるキャサリンも、カールの世界に取り込まれて、現実世界で目を覚せなくなってしまいます。

その原因の一端としては、キャサリンの弟が交通事故にあい、辛い最後を遂げてしまった現実から、キャサリンが逃げたいと思っていたからだと思います。

王冠を被った精神世界のカールも「これは現実じゃない」と謳っていましたが、現実の世界と向き合うのを拒否している様子が伺えます。

カールの精神世界の人物は皆繋がっている

キャサリンが、王冠を被った男の肩を突き刺すと、少年時代のカールも肩に怪我を負ってしまいました。

二人は全く似ているところがなく、別人で異なる行動をしているようにみえますが、同一人物であつことがわかります。

カールの悪人格を殺してしまうことは、虐待を受けて苦しんできた何も悪いことをしていないカールを殺してしまうことがわかります。

多重人格障害を患っている人は、別人格に切り替わる時、他の人格は眠っている状態だと話しています。

しかし、同じ肉体を共有していて、さらに自分が受けてきた心の傷や思いを別人格に分けていっているとしたら、やはりかれらは繋がっているところがあるのではないでしょうか。

最後の洗礼について

キャサリンが、カールの意識を自分の精神世界に招き入れた時、彼女は聖母のような衣装を着て彼を迎え入れます。

カールもキャサリンに心のうちをみせ、大人人格に移り変わり、自分が子供の頃に受けた辛い思い出を語り始めます。

もしかしたらこの時カールは、大人の人格と子供の人格を統合しようとしていたのかもしれません。

洗礼と贖罪

映画【ザ・セル】では、洗礼の場面が繰り返し出てきますが、最後の洗礼のシーンは感動的な美しさがあります。

洗礼を受けることは、今までの罪を洗い流して、新しい自分になり、天国へ行く体に清められる儀式だと言われています。

カールは最初洗礼を嫌がっていましたが、自分が犯した罪の大きさを知ったことで、自ら自分を殺して欲しいとキャサリンにお願いします。

そして、洗礼を受けることを素直に受け入れました。

一方ビリー・ミリガンは、自らの罪に向き合うことなく生涯を終えてしまいました。

たとえ自分が罪を犯してしまった時のことを覚えておらず、別人格がやっていたことだったとしても、ビリー・ミリガンは罪を償うべきだったのかもしれません。

ビリーは精神病院から逃げ出した際には、彼と関係した二人の男が不可解に行方不明になってしまっています。

ガンに侵されて死期が迫ると、彼は姪っ子に「人の命を奪っても神様は許してくれるだろうか」と話していたと言います。

さいごに

【ザ・セル】でカールに誘拐された女性ジュリアは、恋人と婚約していましたが、ビリーについても婚約中の女性に性的暴行を加えました。

彼女の婚約は破談となり、ビリーが無実だと判決が決まった時は、きっと胸が張り裂けるほどの苦しみを味わったのではないかと思います。

映画【ザ・セル】は、ビリー・ミリガンと同様な殺人鬼を描いた贖罪の物語だったのかもしれません。

ビリー・ミリガンのドキュメンタリーはネットフリックで、【ザ・セル】はアマプラで視聴できるので、興味があったらぜひ視聴してみてください。

最後まで読んでくれてありがとうごあいました。

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