映画【かくしごと】「認知症バンザイ!」という問題発言に呆然…脚本がボロボロで感動できなかった

映画【かくしごと】「認知症バンザイ!」という問題発言に呆然…脚本がボロボロで感動できなかった 2024年映画

映画館で新作映画を鑑賞する前に、今後上映される映画の予告が流れますが、その予告に痛く感動してしまうことってよくありますよね。

2024年6月7日に公開された【かくしごと】の予告は、正にその典型的な例で、劇場で映画を観る前にとても興味をそそられました。

そして実際に鑑賞してみた感想は、予告で満足しておくべきだったというものでした。

登場人物一人一人のキャラクターが、微妙に定まっていなくて、なんでそんなことをするのか、なぜそのような言葉を口にするのか理解できませんでした。

特に、町医者の亀田が父親の認知症で悩む千紗子に対し「認知症バンザイだ!」と言ったのには耳を疑いました。

先日鑑賞した【ミッシング】は、鑑賞中涙が止まりませんでしたが、【かくしごと】に関してはお金を返して欲しいなと感じました。

しかし、長野の自然や家族の楽しそうな風景が見たい場合は、暇つぶしに鑑賞してもいいかもしれません。

【かくしごと】のあらすじ

東京に住んでいた千紗子は、父親が裸同然の姿で近所を徘徊し警察にお世話になったことから、7年ぶりに地元の長野に戻ってきました。

父親の予想外な行動に戸惑う千紗子でしたが、気分転換に親友の久江とお酒を飲みにいくことにしました。

そして、二人はお酒に酔った状態で車を走らせていると、車が何かにぶつかる音がして、出てみるとそこには男の子がいました。

公務員でシングルマザーの久江は、警察に届けることを拒否したので、仕方なく千紗子は少年を家に連れて帰ります。

足にはロープが巻かれていて、体に打撲後が残っている少年は記憶を失っており、息子を亡くした過去のある千紗子は少年の身元を隠してひきとることに決めます。

なんでそんなことする?なんでそんなこと言う?

記憶喪失をしてしまった少年が、何故行方不明になってしまったかというと、予告で見る限り監禁されていた家から逃げ出してきたのかと思っていましたが全く違う理由でした。

虐待を受けていた洋一でしたが、父親は無職で時間があったのかわかりませんが、わざわざ町田から長野までやってきて洋一の足にロープを巻きバンジージャンプをさせたそうです。

母親も息子を殺すつもりだったのか、それをとがめもせず、ロープは切れて川に溺れてしまった洋一は、自力で這い出て、道路に寝転がっていて車に轢かれてしまったそうです。

そして、わざわざ千紗子は洋一の家族の居場所を調べ、単身で身分を偽り犬飼家に訪れたことで、後に洋一の居場所はばれてしまいます。

そうやって一つ一つの行動を追ってみると、なんでそんなことをしたのか、しっくりとこない行動をしていることが気になってしまいました。

夫には、登場人物の行動を逐一追っていったら映画がつまらなくなるからやめた方がいいといわれましたが、どうしても気になりました。

認知症バンザイは介護に苦しむ家族に言うべき言葉じゃない

【かくしごと】の登場人物の言葉で、どうしても許せなかったのは、町医者の亀田が父親の認知症で苦しむ千紗子に対して「認知症バンザイだ!」と言ったことに対してでした。

もともと千紗子の父親は、真面目な性格だったそうなので、全てを忘れてしがらみから解放された状態を「認知症バンザイ!」と表現したようですが、家族にかける言葉としては見当違いだと感じました。

そして続けて「父親に似て真面目なあなたもきっと認知症になる」と声をかけていて、いやそれは全然嬉しくないだろと思いましたが、千紗子は涙を浮かべて「そうですね」と言っているのでなんだかそれで良いような展開になり驚きました。

しかし、今現在介護で苦しむ人たちがこのような言葉をかけられたら、憤りを覚えるのではと感じざるを得ませんでした。

そんな感じで、キャラクターの言動の一つ一つにしっくりこない場面が多々あり、本当にこの人は家族のことを思っているのかわかりませんでした。

【かくしごと】の脚本は、アニメ『みなみけ』や『ゆるゆり』などアニメ作品を手がけるあおしまたかしさんですが、キャラクターの心情や行動に着目しないのはどうなのかなと感じました。

父親の認知症にスポットを当てるのはいいが…

この映画では、認知症の父親である倉蔵の奇怪な行動や思い通りにいかない苦しさを、奥田瑛二さんが熱演しています。

認知症によって、倉蔵が以前と同じような行動が取れなくなり、1日前の行動を忘れたりトイレなどが自分一人でできなくなってしまいます。

しかし、そのことで千紗子が人間的に成長することはなく、トイレを漏らしたからといってオムツをはかせることなく、何度も倉蔵はおもらしをしてしまいます。

そして、手が回らなくなった千紗子は、洋一と倉蔵を二人きりにして仕事をしたり、用事を済ませたりする場面も多々ありました。

そのせいで、洋一が倉蔵の奇怪な行動に振り回され、虐待された洋一が今度は倉蔵の介護に奔走させられかわいそうだなと感じました。

そして、最後は感動してくださいというばかりに、洋一は裁判である言葉を口にしますが、あれだけ介護まがいのことをさせられて苦労があったけど、そう思っていたんだと驚きました。

時間軸がブレッブレ!

千紗子は長野に1ヶ月滞在すると言っていましたが、この映画の出来事は1ヶ月限りのことだったのか、それとももっと長い時間をかけてのことだったのか気になりました。

倉蔵は映画が進んでいく中、急激に認知症の状態が悪化していきますが、これはたった1ヶ月で起こったことだと考えると恐ろしいなとかんじました。

また、洋一の千紗子へのなつき方も、1ヶ月でここまでべたべたになれるのか気になりました。

どちらにせよ、子供の身分を隠して生活させるならば、1ヶ月が限度なのかなと感じます。

一夏の家族について描きたかったのかもしれませんが、私には合わない作品でした。

さいごに

映画【かくしごと】を観た感想についてまとめてきましたが、いかがだったでしょうか。

邦画は当たり外れが大きいので、予告だけで気持ちが昂り観にいくと痛い目をみてしまうなと感じました。

もう少し登場人物の言動に、注意を払って欲しいと強く思いました。

最後まで読んでくれてありがとうございました。

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