映画【ルックバック】を見てきた感想!こんなに豪華な同人映画があっていいの??

映画【ルックバック】を見てきた感想!こんなに豪華な同人映画があっていいの?? 2024年映画

2024年、6月28日に公開された藤本タツキ先生の短編漫画をもとに制作された【ルックバック】が公開されたので鑑賞してきました。

【ルックバック】は、2021年に「少年ジャンプ+」で期間限定で無料公開された作品で、漫画家を目指す少女達のひたむきな姿勢に多くの読者が魅了されました。

特に、現在漫画を執筆されている先生からも絶大な支持を得て、旧Twitter内でトレンドにも上がり、「このマンガがすごい!2022」男編第一位にも選出されました。

また、監督としてほぼ全シーンを描き上げたのは【電脳コイル】や【新世紀エヴァンゲリオン新劇場版:破】、【風立ちぬ】などを制作した押山清高さんが監督・脚本・キャラクターデザインを全て担っています。

本記事では、映画【ルックバック】を視聴してきた感想と、良かった点と微妙だった点をまとめてみました。

【ルックバック】について

学年新聞に4コマ漫画を投稿する小学4年生の藤野は、クラスメイトから注目を浴び、満ち足りた優越感を感じていました。

しかし、担任の先生から不登校の京本という少女に、4コマの枠を半分譲って欲しいと頼まれ渋々了承することになりました。

そして、いざ京本の4コマと自分の4コマが並んで掲載された時、藤野は自分の絵の稚拙さを痛感せざるを得ませんでした。

クラスメイトからも、藤野の絵は京本の絵に比べれば普通だと言われ、大きなショックを受けた藤野は絵の猛勉強を始めました。

しかし、描いても描いても絵は上手くならず、6年生になってから藤野は絵を描くことを止めてしまいました。

月日は流れ卒業式の日、担任から「京本に卒業証書を届けて欲しい」と頼まれた藤野は、二つ返事で京本の家に向かいます。

チャイムを押しても出てこないので、藤野は京本の家に勝手に上がり込み、一番奥の部屋へ向かうとそこにはスケッチブックの山が並べられており、彼女の部屋がそこだということがわかりました。

たまらず以前のように、くすりと笑える4コマ漫画を描いた藤野は、手を滑らせてしまいその紙は京本の部屋のドアをすり抜けて入ってしまいました。

慌てて京本の家を飛び出す藤野でしたが、その後に京本が藤野を追って部屋着のまま出てきました。

京本は、ずっと前から藤野の漫画のファンだったと打ち開け、二人は一緒に漫画を描いて少年誌に投稿するようになります。

胸を締め付けるストーリー

漫画大国日本では、子供の頃から漫画雑誌を買い、毎月毎週漫画を楽しみに読んできた子供達がとても多いと思います。

紙面の中でキラキラ輝くキャラクターを見て、自分も漫画を描いてみたいと思ったことは、誰でも一度はあるのでは無いでしょうか。

しかし、自分よりも漫画が上手い人がいて自信を無くしたり、周りの目や家族の静止もあってだんだんと絵を描かなくなっていった人も多いと思います。

漫画家を目指すということが、茨の道でとても辛いことだとわかっている藤野が、それでも自分の劣等感と戦いながら漫画の練習をするシーンは涙なしではみられません。

それでも、学年新聞で抜群に絵が上手い京本と漫画を並べられると、どんなに努力をしても見劣りしてしまう。

ほとんどの人が藤野と同じように、ここでペンを置いてしまうのですが、卒業式後に京本に会えたことで二人の漫画家としての人生が始まります。

自分が劣等感を持っていた相手から、「ファンです!」と言われ、一緒に漫画を描き始めるなんて夢のような展開のストーリーに視聴者は一気に湧き上がりました。

漫画家になりたい!と思ったことがある人なら、涙が出るほど嬉しくて甘い夢をみているようなストーリーです。

実際現在もアニメや漫画の創作をされているクリエイターから、絶大な賛美が寄せられており、何かを打ち込んだことがある人には絶対共感できる映画です。

作画が豪華すぎた

先述しましたが、映画【ルックバック】の押山清高監督は、日本の若手アニメーターとして最も注目されている人物です。

2019年には、株式会社ドリアンというアニメ制作会社を立ち上げ、【チェンソーマン】の悪魔のデザインや【THE FIRST SLAM DANK】の原画なども手掛けています。

【ルックバック】は、ほぼ押山監督がスタジオに1ヶ月泊まり込みになるほど、作画を一身に背負っていましたが、今まで一緒に仕事をしてきたジブリのアニメーターが助っ人としてきてくれたそうです。

ジブリを代表するアニメーター井上俊之さんや、【千年女優】や映画【ドラえもん】などを作ってきた小西賢一さんも作画に加わっています。

そのため、人物の動きは滑らかで、線は少ないものの表情や動きがとても繊細でした。

作中で、小学4年生の藤野が描いた漫画が、そのままアニメ化されるのですが一流のアニメーターが作るととても笑える絵になるなと感じました。

さらに、背景については【崖の上のポニョ】や【おおかみ子どもの雨と雪】などで美しい背景を描いてきた大森崇さんが担当されています。

秋田の美しい田園風景が、とても美しく描かれていて、夢に向かって頑張る藤野と京本をそっと見守ってくれているようでした。

音楽・声優が良かった!

映画【ルックバック】は、アニメ自体は押山先生が描いているので絶対に綺麗だと確信していましたが、正直藤野と京本の声がどのような仕上がりになるか心配していました。

藤野役の河合優実さんも、京本役の吉田美月喜さんも、ドラマでは活躍されているそうですが、声優は初挑戦のようでした。

しかし、音響監督はジブリなどで俳優に声の吹き込み指導などをされていた木村絵里子さんが担当しており、二人の声の良さを上手く引き出してくれました。

藤野の演じる河合さんは、10代特有の自信過剰なところや漫画を描いている時の生返事などを、上手く演じてくれていました。

京本役の吉田美月喜さんは、前半はあまり出番がなかったものの、藤野を追って家から出てきたシーンの訛りや声のつっかえ具合がとてもかわいくて印象的でした。

また、挿入歌の音楽も素晴らしく、作品の雰囲気を上手く引き立ててくれていたように思います。

藤本タツキ先生の現在と重なりツライ

映画【ルックバック】を鑑賞していると、どうしても現実と仮想の区別がつかなくなることがありました。

なぜなら、物語の後半で京本が実際に起こった事件とよく似た事件に巻き込まれてしまうからだと感じます。

前半では、創作者にとって理想的で夢のような展開を描き続けてきた【ルックバック】ですが、後半は一気に現実の悲惨さを叩きつけてきます。

それと同時に、【ルックバック】の物語が、原作者である藤本タツキ先生の半生と重なる錯覚に陥ります。

ルックバックの入場者特典

映画【ルックバック】の入場者特典は、藤本タツキ先生の原作ネームを全ページ収録した冊子でした。

この原作ネームを読むと、藤野の名前はもともと三船で、京本の名前は野々瀬でした。

しかし、商業誌として体裁する前に藤本先生の「藤」と「本」という漢字を使った、藤野と京本という名字が出来上がりました。

特に京本の「京」から始まるアニメーションスタジオは、2019年に悲惨な事件に巻き込まれていて、その後の展開からどうしても事件のことを思い起こさせるような気持ちになります。

さらに、ネーム段階で藤野の連載漫画は「ラックラット」でしたが、映画のほうでは藤本先生が連載していた「チェンソーマン」により似せた漫画が並んでいました。

この漫画を一人の漫画家の半生として描くのは、荷が重すぎるのではないかと後半について鑑賞していて思いました。

フィクションとノンフィクションの境をしっかり決めてあげないと、漫画家としての寿命が縮んでしまう危険があります。

実際、現在藤本先生はチェンソーマン第二部の連載をしていますが、作画のクオリティがどんどん低下しています。

映画【ルックバック】で、藤野がアシスタントを調整するために、担当と電話をするシーンがあるのですが、藤本先生もアシスタントの配属が上手くいってないように感じました。

絵だけではなく、話の辻褄も合わない部分が出てきていて、毎週ひやひやしながら読了しています。

どうか藤本先生が、最後まで漫画家としての人生をまっとうできるよう祈っております。

さいごに

映画【ルックバック】を鑑賞してきた感想についてまとめてきましたがいかがだったでしょうか。

口コミによって上映館が増えているそうなので、時間があれば鑑賞してみるといいかもしれません。

1時間涙をずっと流したいという人にはおすすめです。

実際、鑑賞中は涙が止まりませんでした。

最後まで読んでくれてありがとうございました。

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