【パリに咲くエトワール】は映像オタクには面白い映画!でもちょっと惜しい… ※ネタバレ注意

【パリに咲くエトワール】は映像オタクには面白い映画!でもちょっと惜しい… ※ネタバレ注意 2026年映画

2026年3月13日、One Pease Film Redや反逆のルルーシュなどを手がけた谷口悟朗監督の【パリに咲くエトワール】が公開されました。

さらにキャラクターデザインは、魔女の宅急便でもお馴染みの近藤勝也さんが担当し、ヴァイオレット・エバーガーデンの脚本も担当された吉田玲子さんなど豪華なメンバーが集結しています。

これはもう映画館で観るしかないと、前売り券を購入し、夫を連れて映画館に足を運んできました。

画家を目指す少女フジコと、薙刀の名手でありながらバレエダンサーを目指す千鶴の物語なのですが、バレエ音楽に圧倒され、つま先まで拘った美しいバレエの所作にうっとりさせられました。

しかし、隣で見ていた夫は開始10分もたたずに爆睡してしまい、終盤になるまで全く起きてきませんでした。

普段からバレエが好きで、娘のバレエの発表会に合わせて踊りを鑑賞している立場からすればすごく良いアニメでしたが、特にバレエに興味がないと魅力が感じられなかったのかもしれません。

バレエだけではなく薙刀で戦う動作や、割れたガラス瓶を拾ったりパンにミルクジャムを塗ったり、一つ一つの動作がきっちりと細やかに描かれていました。

しかし、小さな動作に関心を寄せる人とそうでない人がいるのも事実だと思うので、もっと盛り上がる場面などを作ってくれると良かったなと思いました。

またストーリーに関しても、谷口さんとBNFさんという個人投資家と、アニメ会社ALVOが共同制作していて、見せ場があやふやで統一感がなくそれでいてご都合主義なところが目立ちました。

本記事では、パリに咲くエトワールの良かった点と悪かった点についてまとめてみました。

後半はネタバレを多く含みますので、ご注意いただけたらと思います。

パリに咲くエトワールのあらすじ

幼い頃から絵を描くのが好きだったフジコは、外交員の叔父の力を借りて、念願のパリに移住する夢が叶いました。

叔父のギャラリーの手伝いをしながら、パリを満喫し夢中で絵を描くフジコですが、ある日叔父が借金取りに追われている時日本人の少女に助けられました。

助けてくれたのは千鶴という少女で、フジコは彼女を子供の頃観に行ったバレエの舞台で会ったことがあることを思い出しました。

千鶴は薙刀の家元の娘で、両親と共にパリで薙刀を広めるために移住してきたそうですが、千鶴は幼い頃に見たバレエが忘れられず踊ってみたいと思っていたようです。

フジコは千鶴の思いに感銘を受け、同じアパートに住む元バレリーナのオルガに、千鶴を紹介しました。

オルガは千鶴のバレエの才能を見抜き、オルガの息子ルスランが薙刀を教えてもらう代わりに、オルガが千鶴にバレエの稽古をつける契約をしました。

千鶴は練習を重ねるごとにバレエの技術は上達していきますが、フジコは日々の忙しさに追われて絵を描く時間がとれなくなっていきます。

二人の夢を追った少女が

圧倒的に美しい作画

先述しましたが、【パリに咲くエトワール】は背景や人物の動きや描写、色彩設定などこだわり抜いたアニメだと言えます。

フジコがパリの街を歩くシーンなどは、大勢の人達が歩いているのですが、フジコが一目でわかるような色彩設定が施されています。

さらに、石畳や石橋の装飾なども細かく書き込まれており、どの風景を切り抜いても絵になる程美しいです。

また部屋の中の色彩についても、夜の場合は窓際の色を暗めに設定し、フジコが窓際に近づくと服の色も暗めに変わっていくそうです。

バレエの動きについても、モーションキャプチャーなどを使いながら、あらゆる角度からバレエの動きを追求しているのが良かったです。

バレエの作画監督のやぐちひろこさんは、実際にバレエの経験者でもあり、体重の移動の仕方や手やつま先の動きが繊細に描写されていました。

また、薙刀を使って敵を追い払うシーンなども、何度も角度を変え動きを追い迫力のある動きに仕上がっていました。

薙刀はリーチが長いので、少し振り上げるだけでも動きが大きく、さらに攻撃を受ける時も仕掛ける時も動きが様になっていました。

https://twitter.com/parieto_movie/status/2034827269542129992?s=20

エトワールになるんじゃなかったの?

本映画は【パリに咲くエトワール】という題名ですが、千鶴が最高位のバレエダンサーになろうとしていない点が残念だなと思いました。

フジコと千鶴は、子供の頃同じバレエの舞台を見にいくのですが、そこで観たのはジゼルの第二幕ウィリの精達が見事な群舞を踊る場面でした。

千鶴はそのウィリの精達の踊りに感銘を受け、バレエを独学で勉強しはじめます。

そして、パリでもオルガから稽古をつけてもらい、ついにはパリのバレエ団に入団が認められます。

今でこそ日本のバレリーナ達が、パリやイギリスのバレエ団に入団していますが、20世紀初頭にパリで入団を認められるなんて本当に奇跡に近い功績だと思います。

しかしそこで最終的に千鶴が目指したポジションは、群舞の中で出しゃばらず溶け込んで踊ることで、それって才能あるのに勿体無いのではないのかと思いました。

協調性を大事にして踊ることが到達点なら、日本で個性を殺して生きることとあまり変わらないように感じました。

そもそも千鶴が、王子と踊るパ・ドゥ・ドゥなどに惹かれている様子もありませんでした。

結局薙刀も器用に使えて、バレエでは目立たず群舞で行儀良く踊る千鶴は、エトワールというよりも器用貧乏に見えてしまいました。

フジコに対する扱いが酷い

美しいパリの街並みのショットの合間に、印象派っぽい絵画が何回か映るのですが、本物の印象は絵画には程遠く素人に毛が生えた人物が描いたものだと思いました。

おそらくフジコの絵で、パリに来た頃は頻繁に絵がでてきますが、後半になるとあまり出てこなくなります。

千鶴はパリでバレエを習い、メキメキと上達していく反面、フジコは千鶴をサポートするために住まいを変えアルバイトをし生計を稼いでいました。

絵が全く描けていないと泣くフジコでしたが、最後に千鶴がパリのオペラ座で踊っている姿からインスピレーションを得て、あっさりコンペで入賞してしまいます。

フジコは千鶴の踊っている絵をよくスケッチしていて、そこに光るものがあったと思いますが、パリで認められる画家になるほどの才能は感じませんでした。

才能がある千鶴が、オペラ座のバレエ団に入団できたことはまだ納得できますが、描くことさえ止めていたフジコがいきなり賞を獲るのはやりすぎだと思いました。

描けなくなっていた後に、手がボロボロになるまで描き続けてなんとか認められたのなら分かりますが、神がかりなものが降りてきたような演出に拍子抜けしていまいました。

さらに、エンディングはまたフジコが描いたであろう下手な絵の展覧会みたいになっていて、それよりも美術監督の金子裕司さんが描いたパリの風景を流してくれと思いました。

さいごに

【パリに咲くエトワール】の良かった点や悪かった点についてまとめてきましたがいかがだったでしょうか。

意欲作であるのはわかるのですが、万人受けは難しい作品だなと正直感じてしまいました。

恐ろしく作画に手を入れているので、もっとストーリーに深みを持たせて欲しかったと思います。

しかし、バレエが好きな人やパリの街並みを見たい人にはおすすめの映画です。

興味があればぜひ映画館に足を運んでみてくださいね。

最後まで読んでくれてありがとうございました。

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