「クレヨンしんちゃん」は見ちゃダメ!と言われてきた子供時代でしたが、それでも友達の家に行った時映画をみせてもらい大爆笑したのを覚えています。
そして自分が親になった時、とうとう娘に「クレヨンしんちゃんの映画みたい」と言われてしまいました。
クレヨンしんちゃんを娘に見せることで、娘が下品な真似をするのではないかという心配もありましたが、これも一つのいい経験になるかもしれないと感じ家族で見にいくことにしました。
本記事では、劇場でクレヨンしんちゃんを見るのが初めてだった母の感想と、劇場でしんちゃんを見れて大満足だった娘の反応をまとめていきます。
終始館内は笑い声で溢れ、娘も前のめりになりながら夢中になってしんちゃんを鑑賞していました。
大人にとっても、懐メロを使った演出やサラリーマンの風刺にくすっとさせられながらも、不意に泣かされるシーンもあり見応えがあってよかったです。
冒頭から映画館が笑いに包まれる
2023年の映画「クレヨンしんちゃん」は、冒頭からみさえとしんちゃんのチェイシングから始まり、館内は大爆笑に包まれていました。
しんちゃんのくねくねした動きに、娘も笑いが溢れ、走って飛んでスリリングなシーンが魅力的でした。
監督・脚本は、「バクマン。」でお馴染みの大根仁さんが担当されていて、テンポが良く見せ場作りが上手でした。
3D映画ということで、しんちゃんの動きが不自然にならないか気になっていましたが、なめらかな動きで不自然さを感じませんでした。
ところどころのコントが楽しい
今回初めて劇場でしんちゃんをみましたが、ところどころに挟まれる、大人の社会を風刺したやりとりが面白いなと感じました。
それは、白い流れ星に打たれてしんちゃんがエスパーになり、国際エスパー調整委員会の二人が磯野家にやってきた時です。
ピンポンも鳴らさず家に入ってきたにもかかわらず、律儀に名刺を差し出し、それにつられてひろしも名刺を差し出ししんちゃんも海苔をひらひらさせながら自分をアピールします。
それに対してみさえが、肩書きでマウントをとるんじゃない!と言ったやりとりに、ほんとその通りだよね大人ってつまらないことで張り合うよねと共感してしまいました。
手巻き寿司が回り子供たち大興奮
子供達は、お尻を振りながら超能力を発動するしんちゃんに、終始興奮していました。
また、超能力で手巻き寿司をふわふわと浮かせてくるくる回す様子が気に入ったようで「お寿司のメリードーランドだ!」という言葉をすごく気に入っていました。
高級な寿司は食べられないけど、家族で食卓を囲み手巻き寿司を楽しむ家族団欒は、とても良いなと感じます。
家に帰ってからも、手巻き寿司やってみようかなという気分になりました。
溢れる埼玉愛
2023年のクレヨンしんちゃんでは、映画限定キャラとして深谷ネギコが登場しましたが、そのネーミングセンスに思わず笑ってしまいました。
人気声優の鬼頭明里さんが演じる深谷ネギコは、深谷市の名産であるネギをアピールするだけでなく、美人だけどちょっと抜けてるキャラでかわいくて面白かったです。
作中でも頻繁に「春日部」や「埼玉」という言葉を使用し、埼玉愛に溢れた作品だなと感じました。
30代を狙い撃ちにした選曲センス
少々ネタバレになってしまうのですが、しんちゃんの超能力を引き出す音楽が深田恭子の「キミノヒトミニコイシテル」だったことです。
子供達は、突然流れ出した不思議な曲にきょとんとしていましたが、親世代からすると「え?!この選曲?!」と懐かしさと嬉しさで心がいっぱいになりました。
まさか20年前のヒットソングを聴くことができるなんて、クレヨンしんちゃんは一緒にみる親にも気を遣っているんだなと感じました。
映画のテーマ曲も、30代が聴けば嬉しくなるサンボマスターを起用していて熱い気持ちになれるのが良かったです。
サンボマスターズの「future is yours」は、本映画にぴったりで、人って涙を吹いて強くなっていくものだよなと共感できました。
エンディングで「future is mine」が、漫画クレヨンしんちゃんの絵にのせて歌われるのですが、漫画のキャラになったサンボマスター達がしんちゃんと歌っている姿にほっこりさせられました。
戦闘だけじゃない繊細な心理描写
黒い流れ星に当たり、闇の心に染まってしまった非理谷(ひりや)充は、怪獣のような姿に変わってしまい、しんちゃんはロボットを超能力で動かし遂には彼を倒すことに成功します。
しかし、物理的に非理谷を倒すだけでは、彼の心の中の怪物を倒すことができませんでした。
しんちゃんが動かしていたロボットは壊され、さらに恐ろしい怪物になった非理谷は、思い切り息を吸い込みしんちゃんを吸い込みます。
トラウマとの葛藤大人の泣きどころ
主人公が悪役の心の中に入って、対話して円満に解決するという結末は多くありきたりだと感じましたが、本映画の場合は涙が止まらず驚きました。
しんちゃんは30年間も、子供達をふざけながらも元気にし、そばで応援してきた偉大な存在だったのだと再確認させられました。
悪役の非理谷の心の中には、苦しんできた子供の頃の充がテレビを一人で見ていて、そこにしんちゃんがやってきて「チョコビ食べる?」と気楽におやつをわけてあげます。
家族でも友達でも、一緒におやつを分ける相手がいるだけで、心が救われることってありますよね。
暗かった充君の表情が、ほんの少し明るくなったてよかったなと感じました。
そして、突然場面が変わり、運動会で皆が玉入れをしているのにも関わらず、一人膝を抱えて座り込んでいる充君がいました。
しんちゃんは「みつる君はやらないの?」と聞いてみますが充君はしょんぼりしながら「僕が参加したって変わらないよ」と言います。
その言葉を聞くと、球競技が苦手だった自分の幼少期に「みんなの邪魔になるくらいならやらないほうがいい」と考えてしまったことを思い出しました。
ミスしてしまってチームに迷惑をかけたり、そのことで責められたりしたら怖くなってしまいますよね。
しかししんちゃんは「やってみたほうが楽しいよ!」と言って、ボールをえいえいと投げ出し、充君も流されて玉を投げ始めます。
すると、玉が偶然網の中に入り、二人は「やったー!!」と喜び合いました。
特にすごいことをしているわけでもないのに、二人が喜ぶ姿に涙してしまい、自分でも驚きました。
やらないまま膝を抱えていじけているより、成功するかわからないけどやってみたほうが人生絶対楽しいよね。
子供達は相変わらず楽しそうに映画をみている中、隣で号泣してしまい戸惑いましたが、本当にクレヨンしんちゃんの映画をみてよかったと感じました。
さいごに
2023年映画クレヨンしんちゃんは、子供にも大人にも楽しめる映画でした。
少々お下品なおふざけもありますが、あらかじめ話しておけば、しんちゃんの行動を真似することはなさそうです。
しんちゃんは、子供の注目の的であり、大人にとっては頑張れと応援してくれる、優しさとユーモア溢れる存在だったのだとわかりました。
夏休みは子供との時間がたくさんあると思いますので、ぜひしんちゃんを劇場でみてみるのはいかがでしょうか。
最後まで読んでくれてありがとうございます。
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