2004年に公開された映画『saw』は、鎖に縛られた二人の男性と彼らの間に倒れている死体と共に、密室に閉じ込められる緊張感溢れるサイコスリラー映画で大ヒットを遂げました。
わずか120万ドルで製作された『saw』ですが、その10倍の売り上げを記録し、2000年代に続編が6つもリリースされ、その後も『ソウ ファイナル』『ジグソウ:ソウ・レガシー』『スパイラル:ソウ オールリセット』などのさらなる続編も公開されました。
これだけ続編がでているなら、2024年10月18日に公開される【ソウX】は、もはやネタ切れなのではと思いましたが、実際鑑賞すると予想以上に楽しめる映画でした。
本記事では、『ソウX』の見どころを、『ソウ』や『ソウ2』などを比較しながらまとめてみました。
『ソウ』と『ソウ2』の間のエピソードである『ソウX』は、ジグソウのまだまだ装置に慣れていないところや、爪の甘さなどが目立ってハラハラさせる部分が多かったように感じます。
ソウXのあらすじ
ジグソウことジョン・クレイマーは、脳腫瘍を患い余命はあと数ヶ月と診断され、同じようながん患者が集うセラピーにいきながら、自分の命と向き合う日々を送っていました。
ある日、ジョンがカフェで遺書の文言を書いていた時、以前セラピーで会った膵臓癌の男性とばったり再会しました。
彼の癌の進行は早く、もう余命は残されていないと話していましたが、すっかり回復してもう癌は治ったんだとジョンに嬉しそうに話しました。
一体どうやって治したんだと驚くジョンに、彼はあるサイトのURLを書き残し、ここにアクセスするようにと言い立ち去りました。
自宅に戻ったジョンは早速パソコンでURLを検索し、癌治療を専門とする組織の代表者に連絡を取りました。
そして、癌の摘出治療をしてもらうため、ジョンはメキシコの施設で手術をしてもらいますが、実際には手術は行われることなく癌の進行は止まっていませんでした。
ジグゾウは詐欺集団のメンバー4人を集め、ゲームを始めますが…。
人間味のあるジグソウが良かった
余命を宣告されて落ち込むジョンは、冷酷にゲームを進めるジグゾウとは思えないほど悩んでいて、人間味が溢れているなと感じました。
メキシコの施設に到着した時、ジョンが強盗集団に銃を向けられるシーンなどもあったのですが、驚いて純粋にビビっているジョン・クレイマーをみて普通のおじさんだなと感じてしまいました。
しかし頭の中でデスゲームの装置を想像してみたり、現実の世界とデスゲームの世界で揺れ動くジョンの心情を垣間見るのは、なんだか新鮮な気分でした。
また、ゲームの進行にちょっとしたミスなども起こるので、視聴者にとっては「次はどうなってしまうんだろう」という緊張感を持たせられました。
子供との交流
ジョンは、妻のジルとの間に子供を授かった過去がありますが、残念なことに強盗に襲われ流産をしてしまいました。
悲しい過去を背負っているジョンですが、【ソウX】では、慣れないスペイン語を使って、現地の少年と交流する場面がありました。
車輪を直してあげて、少年に微笑みかけるジョンの顔は、亡くなった息子がもし成長したらこんなふうに優しい父親になっていたのかもしれないと想像力を掻き立てられました。
大人に対しては、冷酷に命を奪っていくジグゾウが、無垢な少年にはこんなにも優しいのかと感じました。
後半から急速にギアがかかる
序盤のジョンは、たびたび殺人マシーンを想像上で使っているような場面はありますが、現実ではメキシコののんびりとした風景とゆっくりとしたのどかな時間が続きます。
ジョンも到底ジグソウには見えない普通のおじちゃんで、本当にソウの続編を見ているのか不安になるほど生ぬるい時間が続きました。
ソウシリーズは展開が早く、気がついたら密室に連れてこられていたり、既に事件が始まっていたりするのですが【ソウⅩ】はなかなかお話が進まないのにもどかしさを感じました。
しかし、ゲームは始まると目が覚めるような勢いで話が進んでいくので、後半は全く退屈することはありませんでした。
さらに、ソウにいつも出てくるビリー人形も登場するので、いつものあいつもでてきてくれたと安心させられました。
最初は眠くなるかも
今回30代の夫婦で映画館に訪れたのですが、前半は二人とも寝落ちしそうになるのをこらえていました。
事前にSNSで、序盤は眠くなるという意見を聞いていたので注意していたのですが、それでも何度か眠ってしまいそうになりました。
ジョンも、子供と和やかに話したり、ワインを薦められて飲んだり、こんなので話が進むのだろうかと少し不安になったりもしました。
しかし、後半からソウシリーズの中でも特にグロテスクで目が離せないシーンが多くなり、片目をつぶりながら頭を抑え心の中で悲鳴をあげながら鑑賞していました。
ゲームが始まったら目も覚めるような勢い
【ソウⅩ】は、前半に比べ後半の展開が急速に速くなり、退屈させる隙がありません。
詐欺メンバーを拉致していくシーンでも、全員がそれなりに警戒心を持って過ごしているにも関わらず、素早い動きで一人一人麻酔薬を打って鮮やかに連れ去って行きました。
特に、詐欺集団の親玉でもあるセシリアは、セキュリティの完璧な家に滞在していましたが、天井から大きな岩を落とすことで大胆に派手に家に潜入してきたのに驚きました。
捕まってしまったメンバーたちは、怯えながらジョンに助けを求めますが、ゲームは容赦なく進んでいき目も覚めるような勢いでラストまで突っ走ります。
シリーズの中でもまぁまぁグロい!!
【ソウⅩ】は、『ソウ』と『ソウ2』に回帰する形で作られたそうなのですが、機械に頼らず自分たちの手を使ってゲームが進行していく残酷さがありました。
ソウシリーズは後半になればなるほど、残酷な装置で一瞬で命を落としたり、逃げられない機械でジリジリと苦しめられることが多くなってきたように思います。
しかし、『ソウ』では「目には目を」の精神で自分の足を自ら切り落としたり、制裁を加えるという役割が強かったと思います。
【ソウX】では、この「自分自身に制裁を加える」原点回帰に加えて、2004年よりも作り込まれた切り傷や内臓に何度も目を背けたくなりました。
そのため、体が切られたり内臓が見えたりなどの描写が嫌いな人には鑑賞を控えた方がよいかもしれません。
ゲーム参加者のキャラクターがよかった
【ソウX】の参加者は、一緒に詐欺を行ってきた顔見知り同士なので、時にはお互いをののしったり頑張れと応援したり人間同士の絆の深さと、今にもブチ切れそうな緊張感が良かったです。
特に、詐欺集団の幹部であるセシリアは悪役としてとても存在感があり、毎回メンバーがゲームに挑戦する時「早くやるのよ!」と急かすのですが黙っててよと思いました。
医療従事者ならギリギリ成功できそうなゲーム
【ソウX】のゲーム参加者達は、詐欺集団でありながらも医療従事者であるので、人体の構造を知っているならばギリギリクリアできそうなゲームに挑戦するのが良かったです。
普段彼らが行なっている医療行為を、麻酔なしで自らに施す作業は、自分自身への最大の制裁だと感じました。
しかし、ただ一人医療従事者ではないガブリエラに関しては、他のメンバーよりもクリアしやすいゲームが用意されていて、ジグゾウにも慈悲の心はあるんだなと感じました。
さいごに
【ソウⅩ】について、まとめてきましたがいかがだったでしょうか。
前半は中弛みはありますが、後半は予想以上に面白いのグロ描写が苦手でなければ、映画館での鑑賞がおすすめかと思います。
特に、ソウシリーズを以前見ていた人にとっては、待ちに待った続編ですし、期待して観に行っても落胆させることはないでしょう。
時間があればぜひ鑑賞してみてくださいね。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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