2026年7月中旬は、何も見たい映画がなかったので『オブセッション災愛』を観にいくことにしました。
上映館が限られていたことと、三連休中ということもあり、映画館は8割埋まっている状態でした。
また、カップルで来ている人達がとても多く、劇場を出た後朗らかな顔で映画の感想を話しているのが印象的でした。
SAWシリーズやパラノーマルアクティビティなど、低予算でもヒットを飛ばしてきたホラー映画は数多くありますが、『オブセッション災愛』もその代表作の一つになりそうです。
製作費は、映画の中でも低予算の1億円と言われていますが、その限られた予算の中でも、良い役者を揃えてきたなと思いました。
主人公のベアを演じるマイケル・ジョンストンは、内向的で煮え切らない男の弱々しさと傲慢さを上手に演じていましたし、ニッキーを演じるインディ・ナバレッティはあの顔芸でSNSでも絶賛の嵐です。
さらに、カーリー・バーカー監督はニッキーがおかしくなる瞬間や驚かせるタイミングを完璧に把握しており、臨場感と緊張感のある映像作りが抜群にうまかったです。
またニッキーの動きを逆再生してみたり、ジャパニーズホラーとして高く評価されている『回路』から影響を受けたフリッキーニッキーの写し方も興味深かったです。
今回は『オブセッション災愛』鑑賞した感想と、特にすごいなと思った点についてまとめてみました。
災愛OBSEESIONのあらすじ
内向的な青年ベアは、長年女友達のニッキーに好意を寄せていましたが、思いを伝えることができず友達の関係を継続していました。
親友のイアンに、告白の手伝いをしてもらいながらも、なかなか踏ん切りがつかず、そんな中飼い猫が突然死んでしまってベアは酷く悲観しました。
その夜ニッキーからクイズナイトに参加しないかという電話があり、ベアは釈然としない返事を繰り返していると、ニッキーは通話中に水晶のアクセサリーを無くしてしまったと言い出した。
申し訳なく思ったベアは、水晶のアクセサリーを探しに雑貨屋に立ち寄りましたが、お目当てのものは見つからず奇妙なジョークグッズに目を奪われてしまいます。
それは、ワン・ウィッシュ・ウィロウというもので、折ると一つだけ願いを叶えてくれると女性店員は言いました。
ベアは興味本位でワン・ウィッシュ・ウィローを6ドルで購入しました。
そして、クイズナイトが終わると、ベアはニッキーを車で送ることになりますが、どうしてもニッキーに好きだと打ち明けることができませんでした。
ベアはやけくそになり、ワン・ウィッシュ・ウィロウを折り、ニッキーが自分のことを世界で一番愛してくれるようにと願います。
すると、ニッキーはベアの車に戻ってきて「父親がガンになってしまった。寂しいから一緒にいて欲しい」とベアの家で一晩過ごすことになります。
それからベアとニッキーは、たちまち親しい関係になりますが、ニッキーの様子は次第におかしくなっていきました。
もう一度見たくなるシーン
『オブセッション災愛』を鑑賞したことで、youtube動画から映画を作り始めたカーリー・ベーカー監督の他の作品を見たくなり、youtubeで片っ端から見ていきました。
どの映画も導入から拘った作りになっていて、特に『chair』という作品では冒頭で椅子を車のボンネットに積むシーンから始まるのですが、そこからすでに物語に入り込む重要な仕掛けがありました。
路上に椅子が置かれていて、引越しなのかなと思って見ていると、家の前でじっとこちらを見る老人の視線がなんだかとても気になってくるのです。
実はこの老人が後からものすごく重要な人物になっきて、息も止まらないほどの恐怖の連続に繋がっていきます。
欧米ではオブセッションがSNSで考察合戦が繰り広げられている
『オブセッション災愛』でも「実はあのシーンにはこんな意味があったんじゃないか」という考察がXなどでも長いやり取りで頻繁に繰り替えされています。
後からこの映画を思い出してみると、一つ一つのシーンに無駄がなく、その時のベアの言動やニッキーの行動から「実はこんな意味があったんじゃないか」と考えさせられる場面が多々ありました。
それが見た人によって少しずつ印象が違って、いろいろな考察が浮上してきて実に興味深かったです。
また、最近Xでは翻訳機能の性能が格段に良くなったので、アメリカの視聴者の意見を見にいきやすくなりました。
完璧なタイミングで驚かせてくる
だいたいのホラー映画では、そろそろ驚かせにくるかなという空気はなんとなくわかるのですが、災愛オブセッションはタメが長く不意をついてくるのがとても上手かったです。
ベアとニッキーが普通に静かに会話していたのに、突然沈黙したかと思ったら、とんでもない声量でニッキーが絶叫したり、その間合いの取り方が近年のホラー映画の中でも絶妙でした。
また、「I love you SO SO SO SO SO much」など、同じ単語を何度も早口で繰り返し唱えながら豹変していく姿は、ただの演技とは思えず本当に悪霊にのっとられたのかと思いました。
そして、欧米の悪霊などは恐ろしい顔をしていて、ITのペニーワイズなどもそうですが、見かけで驚かせる演出が多いですが、『オブセッション災愛』ではあえて顔を黒く見えにくくする場面がありました。
これは日本のホラー映画を手がける、黒沢清さんの回路から着想を得て、わざと悪霊の顔をぼんやりとした影として写すことで、得体のしれない怖さを作り上げました。
また、ニッキーの動きを逆再生させ、なんとも言えない気持ち悪い釈然としない動きを見せてくれて、SNSでもなんだあの動きはと話題になりました。
主役二人の演技が上手い!
『オブセッション災愛』では、著名で人気な俳優は出演していませんが、主役二人の演技がとてもよかったです。
ニッキー役のインデ・ナバレッテ
ニッキー役のインデ・ナベレッテは、SNSでも話題になっていますが、映画全体を通して普通の女の子が狂っていく様子を見事に表現しています。
普通の女の子が憑依されておかしくなっていくホラー映画は、エクソシストなどを含め数多くありますが、これほど普通の状態からスイッチが入って切り替わる演技ができる人はなかなかいませんでした。
口角を上げる笑顔は、欧米人がよく見せる表情だと思いますが、これをやり過ぎるとこんなにも苦しそうな顔になるのかと思いました。
表情筋の柔軟さに関しては、日本人の女優などにはできないほど、本当によく動いていたと感じました。
また、絶叫する時の声の大きさもかなり大きく、ヒステリックで見ていられませんでした。
欧米人があんなに絶叫しながら「STAAAAYYYY!!!」と言うのかと驚かされました。
『オブセッション災愛』は、最後インデ・ナバレッテの一発撮りで終わるのですが、ノーカットで撮影されたこのシーンは観客の心に強い印象を与えたことでしょう。
ベア役のマイケル・ジョンストン
驚かせ役がどんなに上手くても、驚かされている人が下手だと映画がつまらなくなってしまいますが、ベア役のマイケル・ジョンストンは最高の驚かされ役でした。
しかもイアンのパーティー以外、ベアは一人がフリーキーニッキーの恐怖に怯え続け、狂気の彼女とサシで向き合い続けますが、インデ・ナバレッテに張り合う演技力をみせています。
冒頭でニッキーに告白の練習をする場面から、ニッキーを褒めているようで自分語りに酔ってしまっているベアの性格をよく表現していたと思います。
ベアのダメ男演技がとても上手かったことで、現在マイケル・ジョンストンへの誹謗中傷がSNSで起こっていると聞きましたが、それは本当に困ったことだと思いました。
撮影現場の映像がSNSに流出していて、カットが入りベアが演技をやめて素の表情に戻る時があるのですが、内向的な青年が本来のキュートな眼差しに戻るのが印象的でした。

散りばめられた謎
『オブセッション災愛』は、複数の謎を最後まで明かさず話が終わる構成になっているので、映画が終わった後「あれは一体なんだったんだろう」と思うことが多々ありました。
SNS上でよく議論されているのは、ニッキーがたびたび恐ろしい何かを見るのですが、あれは一体なんだったのかは最後まで明かされることはありません。
また、ワン・ウィッシュ・ウィロウが販売されていた店では女性の店員がいましたが、2回目に行った時彼女はいなくなっていました。
噛み合わない場面に筋の通った説明を見つけるために、X(旧Twitter)では、数々の考察がポストされています。
興味があったらぜひ検索してみることをおすすめいたします。
さいごに
『オブセッション災愛』を鑑賞した感想をまとめてきましたがいかがだったでしょうか。
カップルで鑑賞して、感想を言い合いお互いの価値観を確かめ合う良い機会になるかもしれません。
カーリー・バーカー監督は、『オブセッション災愛』が高く評価され、A24製作の『悪魔のいけにえ』の新監督にも抜擢されているのでそちらも公開されるのがとても楽しみです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。


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