2024年10月4日から、公開された【悪魔と夜ふかし】は、SNS上では「怖い!」「面白い!」などというコメントで溢れていました。
オーストラリアで制作された【悪魔と夜ふかし】は、キャメロン・コアンズとケリン・コアンズの兄弟二人が監督を担当しており、1977年の世界観を見事に表現しております。
アメリカの映画評価サイトでも、批評家スコアが9割以上と大変好評で、映画館に足を運んだのですが、1970年代のレイトショーに馴染みのない立場からすると、ちょっと間延びするなと感じました。
世界観や設定は悪くないですし、テレビセットの作り込みも見事でしたが、欲を言えば悪魔のビジュアルにもう少し気を使って欲しかったと感じます。
本記事では、【悪魔と夜ふかし】の良かった点と合わなかった点について、まとめてみました。
上映館に限りがある作品なので、今後見に行くか見に行かないかを決める判断材料に役立てればと思います。
【悪魔と夜ふかし】のあらすじ
1970年代のアメリカは、石油ショックやインフレなどで、いわゆる暗い時代と呼ばれ不況の煽りをうけていました。
しかし、不況だからこそ民衆たちはテレビという娯楽に齧り付き、その経済効果は70年代から急激に成長していったのです。
ジャック・デルロイは、時代の波に乗り深夜帯の人気番組「ナイト・オウルズ」の司会者として活躍するようになりました。
しかし、どうしても視聴率1位を取得することはできず、回を追うごとに視聴率は低迷していきジャックは焦りました。
そして、肺がんで余命わずかである、愛妻のマデリンを番組に出演させ、視聴率を一時回復させるという荒技を試みたりもしました。
彼女の死後、「ナイト・オウルズ」は一時休止されましたが、再び起死回生をはかるため、1977年の10月31日にオカルトショーを生放送しようと今までにない試みを果たします。
番組には、霊能力者や悪魔祓いや悪魔と対話する少女などのゲストが登場しますが、会場は次第に異様な雰囲気に飲み込まれていきます。
果たして、観客が期待していた悪魔との対話は実現することができるのでしょうか。
ナイトショーってあんまり好きじゃなかった
ジャック・デルロイ役のデヴィット・ダストマルチャンは、ハンサムで軽快な語り口で魅力を感じましたが、個人的に深夜のテレビ番組をあまり好きでないことを忘れていました。
どちらかと言えば、深夜に人の気配を交えてワイワイ盛り上がるノリがあまり好きではなくて、自分を置いてけぼりにして話が進んでいくアニメや映画を見る方を好んでいました。
あからさまに視聴者を意識した目線を向けられると、こちらは気にしないで欲しいなと感じてしまいました。
また、アメリカの70年代のレイトショーをあまり鑑賞したことがなかったので、懐かしいとかここがあの番組に似ているなどピンとこなかったです。
しかし、バンドマンが生演奏をしていたり、ジャックの語り口が良かったり、スポンサーとの隠れたやり取りを目にすることができてよかったです。
役者は良かった
先述しましたが、主人公のジャックを演じるデヴィッド・ダストマルチャンの演技がとても光っていました。
テレビの前では明るく気丈に振る舞うジャックでしたが、CMに入るとスポンサーと揉めたり、共演者のジューンと恋仲で言い合いになっていたり内情はボロボロであることがわかります。
番組が先に進むにつれて、魅力的でユーモアのある司会者から、傲慢さや心の弱さがあらわになっていき破滅への道を辿っていったのがよかったです。
また、悪魔に取り憑かれた少女リリー役のイングリッド・トレリも、癖があり不安定な精神を持った少女をよく演じてくれていました。
また、元奇術師であるカーマイケル・ヘイヴを演じるイアン・ブリスは、『マトリックス』にも出演しており、今作でも良い存在感を与えてくれていました。
ストーリーに既視感あり
映画【悪魔と夜ふかし】は、役者の演技、番組セットなどの作り込みはよくできていたと思いますが、もう少しストーリーに一味加えてくれるとより見応えがあったのではと感じます。
特にリリーが悪魔に憑依され、ジューンと会話するシーンは、『エクソシスト』をはじめ多くのホラー映画でみてきたようなシーンでありきたりさを感じてしまいました。
また、悪魔に憑依されると黒い液体を吐き出したり、自分の体の中から何かが出てきたり、どこかでみたような悪魔の出現に目新しさを感じられませんでした。
過去の作品に対するオマージュはあってもいいと思いますが、新鮮な映像やお話を入れてくれるともっと良い映画になったのではと感じます。
悪魔のヴィジュアルが笑える… ※ネタバレあり
映画【悪魔と夜ふかし】のオーストラリア版ポスターを見た時、この映画は劇場に観にいきたいと思わせるほどインパクトがあるものだと感じました。
視聴後も、改めてこのポスターを見てみると、炎上するジャックや左手の薬指に光る指輪などをみると、この映画の顛末を物語っているようで本当によくできているなと感じます。
この炎上する悪魔が、劇場でも見られるんじゃないかと思い、ワクワクしながらみていましたが実際に登場する悪魔は大きく異なるものでした。
電波がビリビリとリリーにまとわりつき、体に電気がまとわれるようになり、それによって怪奇現象も次第に起きるようになります。
テレビ番組を通して出現する悪魔なので、電波を帯びているのはいいのですが、かっこいいポスターに感化された後だったのでちょっと拍子抜けを感じてしまいました。
そして、とうとうリリーの体が完全に悪魔に憑依されてしまうと、目と口と頭の頂点から電気が放出され、特に口はぱっかーんと開かれた状態だったので少し間抜けでした。
その見た目がなんだかとても笑えてしまえて、今までオカルトの雰囲気や、『エクソシスト』の憑依などをもとに悪魔の禍々しさを演出してきたのに、完全に憑依された結果がこの姿かとなんだか笑えました。
今までの悪魔と一味違った姿を見たい方は、ぜひ劇場まで足を運んでもらえればと思います。
さいごに
映画【悪魔と夜ふかし】の良かった点と微妙だった点についてまとめてきましたがいかがだったでしょうか。
面白いという意見がSNSでは多かったのですが、個人的にはもう少しストーリーや悪魔のヴィジュアルをなんとかして欲しかったと感じます。
1970年代のアメリカのテレビ番組がお好きな方だったら、きっと楽しめるかと思います。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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