ヒッチコックの映画は面白いというのは、昔から言われていたことですが、白黒で長編の映画をレンタルするのはいささかハードルが高く鑑賞する機会がありませんでした。
30年前なら、地上波ロードショーで頻繁に放送していましたが、令和に入ってしまった現在では、劇場公開が終わった映画を放送されることが多くなってきました。
配信もアマプラで【鳥】無料配信の対象でしたが、2026年現在では有料でしか鑑賞することができなくなっていました。
【鳥】が大変面白かったので、どうにか他の配信サイトでみることができないかと探していると、U-NEXTならサブスク登録すれば視聴できることがわかりました。
今回U-NEXTで鑑賞できるヒッチコック作品の、短いあらすじと感想をまとめてみました。
現在のようにCGなどが普及していない中、巧妙に練られた脚本と演出には驚かされました。
ドラマティックな展開に目が離せない【めまい】
【めまい】は1958年に製作された作品で、オープニングロールがとてもかっこいいです。
警察官のスコティは、捜査中に同僚をビルから転落させてしまったことがトラウマになり、高所に行くとめまいになやまされるようになり退職をよぎなくされました。
そこへ親友のエルスターが現れて、スコティに自分の妻のマデリンを監視してほしいと依頼をしてきました。
スコティは二つ返事で了承し、マデリンを尾行していると、彼女は急に海に身を投げてしまったので、焦ったスコティは彼女を助け出しました。
次第に惹かれていく二人でしたが、マデリンはだんだん自殺した彼女の先祖カルロッタの記憶が蘇っていき、ついにカルロッタが自殺してしまった教会の頂上から身を投げてしまいます。
マデリンを失ったことで悲嘆にくれるスコティでしたが、ある日街中でぶらぶら歩いていると、マデリンそっくりな女性をみかけ、スコティは彼女のあとをついていきますが…。
前半はマデリンとスコティがずっとイチャイチャしているので、ラブロマンス映画なのかなと思ってしまいますが、マデリンが飛び降り自殺した後から話がぐんと面白くなっていきます。
そして、マデリンにそっくりなジュディと出会ってからは、一気にサスペンスドラマになり怒涛の展開に目を奪われます。
最後の終わり方もとてもドラマティックで、現在でもなお考察しがいのある作品だと思います。
ヒッチコックの作品の中でも名作と言われていますので、興味があればぜひ視聴してみてほしいです。
スリラーの王道を作った【サイコ】
1960年に公開されたサイコは、犯人が襲って来る時のヒステリックな効果音でお馴染みですが、サイコスリラーという分野を確立した傑作だと思います。
職場で4万ドルという大金を横領したマリオンは、ずっと誰かが自分を捕まえにくるのではないかという不安にさいなまれ、旧道沿いの寂れたモーテルに身を寄せます。
モーテルの支配人は妙に優しく、一緒に夕食をとろうなどとマリオンに親切にしてくれますが、会話を重ねていくうちに支配人のもつ違和感にマリオンは眉をしかめていきます。
低予算で作られた【サイコ】ですが、現在の映画に大きく影響を与えるほどスリリングな演出が光ります。
大きな包丁を何度も振り翳し、泣き喚く女性とシャワーの水、そしてお馴染みのバイオリンで鳴らす引っ掻くような効果音は、グロテスクな描写がなくても十分恐怖を感じました。
また、モーテルの支配人であるノーマン役の演技も狂気的で良かったです。
このシーンはあのホラー映画でも見たことあるなと、後世のヒット映画に大きな影響を与えているシーンが数多くあるので、映画好きならぜひ見てもらいたい作品です。
完成されたアニマルパニック映画【鳥】
1963年に製作されたヒッチコックの映画【鳥】は、普段どこにでもいて人間とつかず離れずの距離感を保っている鳥達が突然人間を攻撃して来るという話です。
メラニーはペットショップで弁護士のミッチと出会い、彼のためにサンフランシスコからカルフォルニア州のボデカ・ベイという街にラブバードを届けに行きました。
しかし、その道中で一羽のカモメに襲われ、穏やかな港町は次第に鳥の暴走に巻き込まれていきます。
この映画を見て一番最初に驚いたのは、メラニー役のティッピ・ヘドレインがあまりにも美しかったことです。
【鳥】だけではなく、ヒッチコックに出演する女優は皆美しい女優さんばかりで毎回驚かされます。
しかし、最初は若干テンポがゆっくりな感じがして、襲ってきても鳥が1匹だけでそんなに怖くないのですが、終盤にかけて鳥が大群になって襲って来るようになりじわじわと恐ろしくなっていきます。
特に最後のシーンは本当に怖く、余韻を残させるような終わり方で本当によくできた映画でした。
子供の頃に身内すずえさんの漫画で、【金色の闇が見ている】という猫が人間を襲うようになるという作品があるのですが、もしかしたらヒッチコックから影響を受けたのではと思いました。
【金色の闇が見ている】の冒頭で、主人公の父親が「数が多いものに少ないものは勝てない」と話すのですが、大群で襲ってくるものほど恐ろしいものはないなと感じました。
間違いなく傑作!【北北西に進路を取れ】
1959年に製作された【北北西に進路を取れ】は、初めから終わりまで何が起こるか分からないノンストップで面白い映画でした。
ヒッチコックの作品は、序盤は退屈になりがちなのですが、ある日ごく普通の男がやり手のスパイだと間違われて命を狙われるという突拍子も無いストーリーで本当に面白かったです。
主人公のロジャー・ソーンヒルは、ジョージ・キャプラインというスパイに間違えられてしまってから、命を狙われ警察に追われ続け先が読めない展開にずっとワクワクさせられます。
そんな中、ヒッチコックでお馴染みの美しい金髪美女が匿ってくれたり、常に視聴者を飽きさせない仕掛けがてんこもりでした。
特に、飛行機に追われるシーンなどは圧倒的な力の差を前に、ロジャーがギリギリまで引きつけて避けたり、とうもろこし畑に隠れたり知恵を絞って逃げ切る姿に逞しさを感じました。
ラブロマンスとサスペンスのバランスがよく、誰が見てもこれ面白い!と満足できる作品だと思います。
U-NEXTに加入してでも見る価値がある映画だと思います。
グレースケリーが出演している【裏窓】
足を骨折し家から外出できなくなったジェフは、裏窓から中庭を囲むように並んでいる隣の部屋を、観察するのが日課になっていた。
ある夜、女性の叫び声と何かが割れる音を聞いたジェフは、中庭を囲むマンションで犯罪が起きているのではないかと考えます。
恋人のリザと看護師のステラとともに、マンションを観察しますが…。
1954年の映画で、のちにモナコの后妃となったグレース・ケリーの美しさと、【めまい】でも主演を務めたジェームズ・スチュアートのやりとりが楽しいです。
画面に映ったグレース・ケリーの美しさに目を奪われましたが、離してみると意外と親しみやすい雰囲気を持っていて、飾らない素朴な立ち振る舞いに好感を持ちました。
中庭を囲むように部屋が並んでいるマンションで、それぞれ性格も性別も異なる人達が同じ場所で暮らしているということは、ギリギリのバランスで成り立っているんだなと感じました。
ヒッチコックの最後の作品【ファミリープロット】
ヒッチコック監督の遺作になってしまった【ファミリープロット】は、二つの話がぴったりと重なるよくできた作品でした。
インチキ占い師のブランチは、ある資産家の女性の妹の子供を養子に出した過去があり、その甥に多額の財産を譲ろうと考えていることを知ります。
ブランチは恋人のジョージと共謀して、依頼人を過去を調べて商売をしていましたが、今回も大金を手にいれるチャンスに目を輝かせながら養子に出された甥の行方を探します。
一方宝石商のアダムソンと妻のフランは、富豪を誘拐しその見返りに宝石や金品を要求する犯罪者でした。
一見全く関連がなさそうな二組のカップルの話が合致した時、不思議な感動を覚えるほどよくできた脚本だなと感じました。
また、ブランチとジョージの乗る車のブレーキが壊れ、いろは坂も驚くほどの急勾配の山道を駆け降りるシーンの緊迫感はすごかったです。
車がくねくね道を滑り降りるシーンと、二人が車の中で激しく揺れるシーンを合成しているのはわかるのですが、それでも恐ろしいほどスリルを感じました。
この作品は1972年に製作され、結果的にはヒッチコックの遺作となってしまいましたが、堅苦しく無く楽しいサスペンス映画になっており、映画を作る手腕は最後まで衰えなかったのだと思います。
さいごに
ヒッチコックの名作を鑑賞した感想をまとめてきましたがいかがだったでしょうか。
序盤は中弛みしてしまうこともありますが、映画の終盤になると、とんでもなく面白くなる映画ばかりなので興味がでましたらぜひ鑑賞してみてくださいね。
最後まで読んでくれてありがとうございました。


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