今までの人生を変えてしまうような、一台ムーブメントが現れたら、自分の人生はどう変わるんだろうと考えたことはありませんか。
【ドリームシナリオ】では、他人の夢に自分が現れるという不思議な現象に見舞われた男性の人生が、どのように変わっていくか描いた映画です。
本来夢というものは、夢を見ている本人の記憶を整理していると言われていますが、【ドリームシナリオ】では主人公のポール・マシューズが家族や知人だけでなくあらゆる人の夢に現れるようになります。
なぜポールを知らない人が、ポールの夢を見るようになったのかは最後までわかりませんでしたが、ニコラス・ケイジが演じるポールが魅力的でした。
本記事では、【ドリームシナリオ】を見た感想や、思ったことをまとめてみました。
なんともつかみどころのない映画ですが、実際に自分がこのような現象にかちあってしまったら、やはりポールのように転落人生を送ってしまうかもしれないと感じました。
【ドリームシナリオ】のあらすじ
大学教授のポール・マシューズは、大学教授で二人の娘を持つごく普通の家庭を持つ男性でした。
友人のブレッドが運営する大学で生物学を教えていたポールですが、大学で同じ分野を学んでいた同期が自分の研究内容に似た論文を公表していたことを知り悩んでいました。
そんな時、娘のソフィーが「パパが夢にでてきた」と打ち明けられ、さらに大学の学生や、ポールの元彼女などもポールが夢にでてきたと話していることが多くなってきました。
ポールのフェイスブックにも、あなたが夢にでてきた!というメッセージが大量に送られてきて、テレビからの取材依頼なども受けるようになりました。
ポールはこの機会に、自分の今までの研究を本にして出版したいと考え、広告会社と話し合いますが…。
ニコラス・ケイジがとにかくよかった
ハリウッドを代表する俳優ニコラス・ケイジは、時にはアクションを務めたり、濃厚なラブシーンを披露したり、アカデミー主演男優賞を何度も受賞してきました。
しかし、【ドリームシナリオ】のポールを演じるニコラス・ケイジは、見事に頭は禿げ上がり服装もぱっとせず、目を引くアクションはほぼ起こしません。
しかしながら、その存在感はやキャラの立ち方は見事で、ポールというありきたりでうだつの上がらない男性に見事になりきっているのがすごいなと感じました。
ニコラス・ケイジは、以前自分が怒っている場面だけが編集されている、いわゆるネットミーム動画を作られたことがあったそうです。
その動画をみて抱いた不満や憤りが、【ドリームシナリオ】でポールを演じる際に活かされていると話しています。
目をひく絵作り
【ドリームシナリオ】は、他のA24作品のように衝撃的なグロシーンはなく、淡々と日常の場面と夢の中の世界で構成されています。
しかし、どのシーンも見ていて退屈だったり嘘っぽいシーンがなく、ストレスなく104分の上映時間を楽しめたと思います。
役者達は、ニコラス・ケイジを始め存在感があり、演技がとても自然だったように見えます。
娘のソフィーは、『ボーはおそれている』にも出演したリリー・バードが演じており、ポールの妻であるジャネットを演じるジュリアンヌ・ニコルソンもポールとの仲睦まじさにほっこりさせられました。
また、【ドリームシナリオ】の監督であるクリストファー・ボルグリは『シック・オブ・マイセルフ』も監督しており、印象的なシーンを作るのが上手く、SNSを通した人間の見せ方もうまかったです。
本作は、『ヘレデタリー』や『ミッドサマー』などで注目されたアリ・アスターも制作に協力していますが、彼がクリストファー・ボルグリの才能を認めたことも納得できました。
築いてきたものがボロボロ壊れていく
【ドリームシナリオ】の主人公ポールは、特に自分からアクションを起こさないことで、平穏な家族と生活を築いてきました。
しかし、自分が他人の夢に出てくる現象が頻発したことで、今まで行動を躊躇してきたポールは長年叶えたかった自署の出版に向けて動き出します。
それと同時に夢の中のポールも次第に暴力的な行動をとるようになり、ポールに夢の中で危害を加えられた人から恐れられるようになってしまいました。
社会的立場
ポールが学生達の夢の中に出てくるようになった時、一時期彼の講義には沢山の生徒達が集まり、一緒に写真を撮ったり盛り上がっていました。
さらに、生徒達から夢の内容を聞き出したり、最初は生徒達から人気を得てこれから楽しい教授として学校の名物になったりするのではと予想したりもしました。
しかし、ポールの人間性が面白かったから生徒達が集まって来た訳ではないので、夢の中のポールの印象が悪くなれば現実のポールも受け入れがたい存在になってしまったのだと感じます。
結局ポールは学校を休学しなくてはいけなくなり、見事な転落人生を味わうことになります。
家族との絆
マシューズ家族は、とてもありきたりでごく普通の家族で、自分の家族と似たものを感じさせる共感しやすい人達でした。
しかし、ポールが他人の夢に頻出することになり、さらにソフィーもポールの悪夢にうなされ、少しずつ家族が崩壊していくのを見るのは苦しかったです。
ポールは娘達も妻も深く愛していたのに、なぜここまで上手くいかなかったんだろうと悲しくなりました。
ラストもじんわりとくる終わり方で、ドリームスリラー映画と言われる『ドリームシナリオ』ですが、視聴した後じんわりと考えさせられる映画だと感じました。
さいごに
【ドリームシナリオ】を鑑賞した感想をまとめてきましたがいかがだったでしょうか。
突出して衝撃的なことが起こる話ではないのですが、見ていてストレスなく、自然でニコラス・ケイジが魅力的な映画でした。
しかし、なぜポールが皆の夢の中に現れるかという謎に関しては、最後まで明かされることはなかったので全ての謎が回収されてすっきりしたいと思う人には向いていないかもしれません。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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